相続人が未成年の場合はどうすればいいの? | 大阪で相続の相談なら相続カフェ

相続人が未成年の場合はどうすればいいの?

相続が発生し、遺産を分割するためには相続の手続き(法律行為)が必要になります。

 

しかし、相続人は、必ずしも成人とは限りません。時には未成年などの「制限行為能力者」が法定相続人となりうる場合があります。

 

このようなケースにおいて「どのように手続きを行ってゆくのか」について、仕組みの理解を深めながら順番に説明をしてきいきたいと思います。

 

そもそも未成年って何歳まで?

民法では「20歳に達した時を持って成人(行為能力者)とする」というルールが設けられております。

 

つまり20歳以下であれば「未成年」ということになりますので、単独で法律行為を行う場合は原則として親権者の同意が必要です。

 

未成年者が単独で行った行為は取り消すことができます。ただし例外として、男性は18歳、女性は16歳において婚姻をした者については、20歳以下でも成人(行為能力者)としてみなされます。※お酒や喫煙に関する年齢規制についてはこの適用を受けず、年齢的な未成年者という扱いになります。

 

制限行為能力者

法律上では法律行為を行うことができる方のことを「行為能力者」と言います。

 

未成年はまだ成人ではないため、行為能力については十分な判断ができないということから「制限行為能力者」として親権者の同意が必要と定めております。

 

難しい言葉かもしれませんが、この言葉は未成年に関わらず相続の際は特に重要な言葉になりますので、知っておくと良いでしょう。

 

相続手続きにおける制限行為能力者の関係

相続の発生により、法定相続人となる方は相続の手続きをしなければなりません。

 

しかし、制限行為能力者が存在する場合は勝手に進めることができなくなります。

 

なぜなら制限行為能力者の権利について行為能力者が代理をして意思の表示をしなければならないからです。

 

例えば、未成年の相続人を相手に法定相続分の話をしても何のことやら難しすぎるため、理解して正しい判断をしてもらうことは難しいはずです。

 

行為能力を有すると判断されている方(少なくとも行為能力者である成人)の判断が必要になります。

 

何で代理人が必要なの?

1、判断能力の差が発生してしまうため、法律行為自体にリスクをもたらす

制限行為能力者である未成年が親の同意を得ずに法律行為を行うことができたとすれば、いろいろな問題が起きると言えるでしょう。

 

例えば、未成年でも不動産の売買契約あるいは各種契約を単独で行うことができる、担保があれば銀行でお金を借りることができる、など成人と同じ範囲の法律行為までもが可能になる反面では、危険にさらされるリスクもあります。

 

成人に比べて知識や経済力の差があるにも関わらず、騙されて契約をさせられてしまったり、逆を言えば未成年が成人を相手に虚偽の説明をして不当に利益を得られるとすれば、双方の財産を侵害しかねません。

 

制限行為能力者が法律行為を単独で行うことができないのには理由があり、このようなことが起きないよう保護することを目的として設けられているルールなのです。

 

2、必ずしも制限行為能力者は未成年ばかりではない

相続人が成人でも「制限行為能力者」である場合には、代理人を立てる必要があります。

 

例えば、障害を持っており正しい判断ができなかったり、意思表示ができない場合などは本人を保護するものがなくなってしまいます。

 

無理やり同意をさせられてしまっても、自分の意思を主張することが難しいなど、一方的に不利になってしまったのでは権利を侵害されてしまいます。

 

認知症などもその一例です。そのため、判断能力が不十分であると判断された場合には「特別代理人」を立てなければ、相続手続きを行うことができません。

 

ここにルールがないとすれば、いてが認知症や判断能力を欠くという事実を武器に悪いことを働いてしまう人が現れてしまいます。

 

制限行為能力者の代理人

代理人の必要性について、お分かりいただいたところで遺産分割における未成年(制限行為能力者)の代理人について考えてみましょう。

 

未成年の代理人は親権者である両親ですが、相続の場合はこればかりではありません。

 

例えば、自分の両親のうちどちらかの相続が発生してしまった場合、相続人は残された配偶者と子供であり、子供の代理人が親である配偶者だった場合に、子供が不利になってしまうという可能性があります。

 

相続手続きにおける未成年者の特別代理人

未成年者の代理人としての親権者が利益相反の場合については、裁判所に申し出ることで第3者を特別代理人に選任することができます。

 

そして裁判所が定めた特別代理人は、親権者に代わり未成年者の代理人になることが許されます。また裁判所に特別代理人選任の手続きを行う場合は親権者が行う必要があります。

 

代理人は指定できる?

特別代理人を限定するルールはありませんので、選任は自由です。

 

遺産分割などの相続財産の取得に関する代理人については、直接利益を得る関係の対象以外であれば誰でも構いませんが、その方に「万が一」の事があった場合までは補償がありませんので、司法書士などの専門家に依頼をするという方法もあります。

 

また、類似ケースとして制限行為能力者に関しては、後見人や成年後見人という代理人の方法もあるため、専門家に相談をすることで不正のない誠実な手続きが行えるというメリットもあります。

 

特別代理人の選任の流れ

1、裁判所へ特別代理人選任申立て

特別代理人選任の必要性を問う対象の方の住所地の管轄の裁判所に対して特別代理人の選任の申立てを行います。

 

管轄の裁判所並び申し立ての様式は裁判所のホームページより確認ができます。

2、必要書類

未成年者・親権者の戸籍謄本、特別代理人選任候補者の住民票または戸籍の附票、利益相反に関する資料(遺産分割協議書)などが必要になります。※必要書類は省略しておりますが、このほかにも代用可能な書類もあります。また、入手不可能な書類については申立書提出後に追加資料として提出をすることもでき、場合によっては追加提出を要求されるものもあります。

 

基本的にはこれだけであり、裁判所への申し立てというのが流れになります。

 

遺産分割協議における未成年者にあっては特別代理人(親権者以外)を選任する必要があり、そのためには事前に裁判所へ「特別代理人選任の申立て」を行う必要があります。

 

遺産分割協議については利益相反に関する資料として、あらかじめ作成した遺産分割協議書を提出し、その内容について添付された未成年者本人並びに親権者に変わる特別代理人に対しての特別代理人の権限が認められることになります。

 

分割協議書の内容が明らかに不公平である場合や、明らかに法定相続分を下回る場合などについては例外として特別代理人の選任が認可されない場合があります。

 

まとめ
単なる手続きというよりは、未成年者や制限行為能力者に不公平や不平等が生じないよう、保護することを目的としている背景があることがお分かりいただけましたでしょうか?ついつい「難しい」手続きと考えてしまいがちですが、こうした手続きがあるからこそ保護されていると言えます。法律は面倒な手続きを設ける厄介者ではなく、本来得られるべき財産を保護するためのアイテムなのです。

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