相続財産の整理ってどうすればいいの?
・遺産整理とは?
遺産整理とは、亡くなられた方が生前に所有していた財産を、相続または管理処分することのことを言います。
これは国の法律で定められている「相続」から来ております。所有している財産には、その本人が所有しているという「権利」が保存されているため、所有者が亡くなってしまった場合にはその権利について、誰かが受け継ぐあるいは処分等の管理を行う必要があります。
民法では、この「相続」について、亡くなられた方との血縁関係者を「法定相続人」として、遺産の相続を行うよう定められております。
しかし、具体的に誰がどのように取得するかについては、亡くなられた方の「遺言」や相続人の意思を優先するため、遺産整理を制限することや強制することはありません。
・遺産整理を行うにあたって
人が亡くなると「相続」が発生することになりますが、遺産整理については「一定の答え」があるわけではなく、亡くなられた方の所有する財産によってそれぞれの手続や管轄が分かれているため、実際の手続については環境に応じて解決してゆくことになります。
まずは、亡くなられた方の財産を特定し「どこに」「何が」「どれだけ」あるかを知ることが重要になります。そして、それぞれを管轄する機関に「相続手続」を行う必要があります。
・遺産の種類と手続方法について
財産の範囲は不動産から動産まで並べると計り知れませんが、ここでは「明らかに名義が保存されている財産」に関しての手続の必要性についてご紹介させていただきます。
『不動産』
亡くなられた方が生前に生活をしていた住居について、不動産の名義が保存されている場合には「名義変更」の手続が必要になります。不動産の所有については「法務局」による「所有権の登記」を持って本人の所有物であることが証明されます。
所有権は所有者がなくなった時点で権利が失効してしまうため、相続を行う旨の名義変更手続が必要になります。管轄する法務局へ手続きを行う必要がありますが、必要書類や提出書類が多いことや、回収に時間がかかってしまう上再提出を迫られる場合もあり、思うように手続きが進まないことから多くの場合「司法書士」へ依頼をする方が多いのが実際です。
また不動産の後継者がいない場合には、不動産の売却として建物ごと売却または建物を解体し土地として売却する場合もあります。
これは不動産業者との協議が必要になりますが、既存住宅となると思うように買い手が見つからないこともあり、建物の建っていない更地の方が不動産業者にとっては、親しみやすい不動産ということも知っておくと良いでしょう。
『金融機関』
亡くなられた方の名義で開設された「銀行口座」の預貯金や「証券会社」などの有価証券・国債など、これらはそれぞれ解約の手続きが必要となります。銀行口座
については死亡と同時に凍結され、相続手続きによる解約手続きを行うことで、口座内の預貯金を全額出金または相続人の口座へと移します。
証券などの「時価」が変動する財産については、相続発生日の金額で解約することは難しく、書類の提出・精査が終わり、手続きが確定した段階の「時価」によって換価されます。
そのため、「解約」と「名義変更」の2パターンの手続きが可能です。
所有していた時期は「高価値」であったが、相続時には価格が暴落し「低価値」となってしまった場合などには、相続人の名前で新規口座開設を行い財産を承継することで、そのまま保有することができます。
価格の高騰するタイミングを待つことも解約のタイミングを決めることもできるため、その時の価値によって判断をするケースが多いです。
『生命保険金』
亡くなられた方が生前に加入していた生命保険の保険金については「相続財産」としての熱い会ではなく、あらかじめ指定された「受取人」の財産となります。相続人の間で行う「遺産分割」の対象からは外れますが「相続税」は別の話ですので、保険金が多額の場合については注意が必要です。被保険者の名義で加入していた「保険会社」に対して、死亡の届出を行う必要があります。
・遺産整理で気をつけるべきこと
不動産相続について、万が一売却を行う場合には「相続の登記が済んでいること」が条件である不動産業者が多いため、相続人同士での話し合いができているかどうかを問われます。
よくある事例としては「物は管理できないため、お金にして分配ほしい」というケースです。
建てたばかりの新築物件ならまだしも、築年数が経っている建物の場合は買い手にとっては「不要物」となってしまうため、最終的に売却に至らないというケースがあります。
この場合は「建物の解体」を行うことで「土地」として売却できるため、買い手にすればそこに新築を建てられる環境になるわけです。しかしここで問題なのが、まだ換価処分できていない不動産に対して「解体費用」を現金で支払う必要があることです。
土地ならXXX万円で売れるとしても、そのために建物を解体する費用・家財の処分費用など、先行して支払わなければならない場合「誰がその費用を持つのか」ということでトラブルになってしまうことが多いのです。
不動産の売却査定価格に対して、先行出費を考慮した上で最終金額を現金で分配相続するとなると、手続きを行う者と行わないものとの間に不平が発生したり、様々な争いへと発展してしまうのです。
こうしたトラブルなく、無事に金銭的な話し合いが完了している上で相続による名義変更の手続きを行なっている不動産を不動産業者が取り扱ってくれるということです。財産の話になると、人間関係が大きく動く場合もあるということを肝に命じておかなければなりません。
遺産整理の各種手続き全般において、基本的には相続人同士での話し合いが完結していることが前提になりますので、一人でも納得のいかない相続人がいたり争いが絶えない場合は手続きが進まないことになります。
また、相続人が県外に住所変更をしている場合など、書類に関しては郵便でのやり取りを余儀なくされる場合など、効率よく手続きを進める必要があります。
それぞれの管轄する機関によって各種証明情報書類の期限が定められているため、時間がかかりすぎると公文書の効力が失効してしまい、再請求をしなければならない場合もあります。
相続関係を証明する証明情報については、出生から死亡まで及び相続人全員の情報が必要のため、不備なく揃えることは容易ではありません。
県外や遠方に親族・相続人がいる場合には、こうした書類の請求や署名・押印に時間がかかることや、訂正の度に相続人全員の同意が必要となり、どうしても時差が発生することと相続人の感情に抵触してしまうことを忘れてはいけません。
また、遺産整理の際に「遺言書」や「信託財産」などがないかどうかをあらかじめ確認することも重要です。
遺言があった場合には、その遺言が優先されることになり、遺言者の意思を尊重する必要があります。
遺言書の有無については自筆で書いている「自筆証書遺言」か「公証書遺言」のどちらかが一般的であり、家から見つかる場合や遺言証人が情報を知っている場合もあります。
信託会社を通じて財産を管理している場合には、相続発生に伴い信託財産の管理が始まるため相続人だけでは対応ができなくなってしまうケースがありますので、これらの確認は非常に重要になります。
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