遺言書の活用~メリット・デメリット~ | 大阪で相続の相談なら相続カフェ

遺言書の活用~メリット・デメリット~

遺言書(いごんしょ)とは、通常「ゆいごんしょ」と呼ばれておりますが、生前に自分の相続に関する遺産分割において、遺言者の願いとして記されることが多く、その内容は様々です。

 

あらかじめ相続人を指定したり、事情によって相続手続きにトラブルが予測される場合などに効果を発揮する文書になります。

 

遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の二つがあります。これら二つの「遺言書」について、それぞれの活用方法とメリット・デメリットについてお話をさせていただきます。

 

遺言書の活用方法とは

 

遺言の使い方としては、遺言者の相続が発生した時に「最後の意思」として尊重されるべき内容になるため、遺産分割において大きな役割を発揮します。

 

人が亡くなった場合は、法律に従い「相続の手続き」を行う必要があります。

 

通常は亡くなった方と血縁関係にある「法定相続人」間で遺産分割を行う必要があり「相続権」を持つ対象者が限定されますが、遺言書はこれに優先して遺産を分割することができるという効力を持っております。

 

相続関係において家系の事情や配偶者兄弟姉妹が存在しない場合の相続関係など、思うように相続手続きが進まない場合に活用されるケースが多数です。

 

相続手続きが思うように進まないケース

 

・配偶者が不存在で、親子兄弟で非常に仲が悪い

普段は会うことも会話をすることもないが、相続の手続きを迎えた際には「財産」の取り分において「遺産分割協議」に納得がいかず、明らかに署名捺印が難しいと判断される場合トラブルへと発展することが多いです。

 

・被相続人に前妻夫などが存在するケース

法定相続人は原則として「血縁関係」にある者を「相続人」と定めているため、現状の家族内での相続ばかりではなく前妻夫の間に子供がいた場合には、その子供にも相続権が発生します。そこに登場するのは「子供の意見」ではなくなってきてしまい、親権者の判断や意見要望が出てくる可能性もあります。

 

・相続人が音信不通または行方不明

相続人が海外へ移住しており連絡が取れない、または消息が不明で生存確認が取れない場合など、相続の手続きにおいては「相続人」としての意思表示が必要になるため、まず先に「意思疎通」または「生存確認」などの事前の準備が必要になります。

 

自筆証書遺言と公正証書遺言の違い

 

自筆証書遺言とは・・・

「自筆」にて遺言書を作成することであり、規定の様式に従って作成することで「遺言書」と同じだけの効力を持つ「私文書」になります。ここで重要なのは「規定の様式」を満たしていることが条件であり、一つでも欠落がある場合は「遺言書」として機能しない可能性があります。

 

公正証書遺言とは・・・

公証役場と呼ばれる「公的な環境」において、「公証人」「遺言者」「証人2人」の合計4人で作成する遺言書になります。規定の様式を満たした自筆証書遺言と公正証書遺言は同じ効力になります。

それぞれのメリットデメリットについて

 

自筆証書遺言について

 

メリット

・自筆のため費用がかからない。

・書き直しや、訂正も容易に行うことができる。

・自分の思いを忠実に自分の言葉で残すことができ、最後の直筆として残すことができる。

 

デメリット

・原本が1通しか残らないため、存在を知るものしか把握または発見することができないため、発見のタイミングに時差が生じる。

・保管場所によっては発見されないケース、または紛失や災害などによって消失してしまうリスクがある。

・誰かが内容を書き換えた場合にも偽造の判断が難しく、発見者による悪用の可能性もある。

・遺言書の発見後、遺言者の最後の住所の管轄の裁判所に対して「検認」の申し立てを行う必要があり、相続人全員に遺言の存在と内容が発覚します。

・万が一相続人が遺言の偽造や変造を訴えた場合などに、筆跡鑑定の必要性が出てしまう可能性があり、その際には筆跡鑑定に伴う多額の作業費用を実費負担することとなる。

 

公正証書遺言について

 

メリット

・公証人によって正式な遺言を作成をしてもらえるため、自筆証書よりも安心して作成できる。

・遺言者のほか「証人2人」が同席するため、遺言者以外にも遺言の存在を知り、発見されない可能性が減る。

・公正証書遺言は「正本」「副本」の2通が発行され、1通は公証役場にて10年間保管されるため、万が一の紛失や災害による原本の消失の場合にも公証役場に記録が残る。

・一度公正証書遺言を作成したら、全国の公証役場にて遺言書の確認が行える。

 

デメリット

・作成するのに費用が発生する。(公証人報酬・相続関係証明書類等)

・一度作成すると、内容を書き換えるたびに手続きを行う必要があるため費用と手間がかかる。

・判断能力がある方を対象としているため、公正証書遺言作成当日に公証人の判断によって「遺言者に判断能力が無い」と判断された場合には、遺言書の作成ができない場合もある。(たとえそれが本人の意思であったとしても、それを証明することが難しい)

 

遺言書の活用方法の実際

 

相続手続きの円滑化

 

遺言書を作成するという場面において、多くの方が抱かれている狙いは「トラブル防止」や「明らかに紛争になることが目に見えている場合の財産分与」が多いのです。

 

では、どうしてこのようなケースにおいて遺言書が有効に活用できるのでしょうか?

 

それは、遺言書が民法第985条「遺言の効力の発生時期」によって、法的に効果を発生させるからです。

 

本来は、被相続人の相続関係にある法定相続人間において遺産の分割を協議する必要があり、協議内容を記す遺産分割協議書に署名捺印(実印)及び印鑑証明書がなければ相続手続きが前に進まないことになります。

 

しかし、遺言者が死後も財産を自由に処分することができることを目的に制度を認めていることで、法的に保護されている権利となります。そのため、遺言者の意思を優先して財産を分割することができるのです。

 

遺言執行者の選任

 

遺言書の作成をする際に「遺言執行者」を選任することができます。

 

これは、自分の作成した遺言(自分の思い)の通りに遺産を相続させるために、その遺言どおりの内容に執行を任せる自分物を選任することができます。

 

遺言執行者に選任された方は「遺言を執行する義務」が発生しますので、遺言者の意思を尊重し遺言書通りに相続手続きを執行することが問われます。

 

相続手続きの実際としては、戸籍や各種証明書を請求することは日常にない作業であり、思うように進まなという声もよく耳にします。

 

この場合、税理士事務所や司法書士事務所などにあらかじめ相談をしておき、専門家を執行者に選任することも可能であり、執行者はこれらの請求を業務として職務上請求できるため、手続きを代理してもらうことで短期間に手続きを完了させることもできます。

 

配偶者への配慮

 

相続の事例として、遺言者に配偶者がいて子供がいない場合にも遺言書は有効になります。

 

配偶者は常に相続人となりうる存在ですが、夫婦間に子供がいない場合は相続関係が複雑になってきます。例えば夫が先に亡くなってしまった場合、残された奥さんは相続人ですが、亡くなった夫の兄弟姉妹にも相続権が発生してしまい、奥さんと夫の兄弟姉妹間において遺産の分割協議を行う必要があります。

 

この場合、夫の財産をすべて奥さんに相続させる旨の遺言を作成することによって、兄弟姉妹を相続関係人から「除外」してしまうことができるのです。

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