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【遺産相続】相続財産評価、現預金以外の評価について

相続で発生する相続財産はその評価について民事上と相続税法上で扱いが異なります。

 

遺族の間で相続財産を分ける遺産分けの場面では、各財産をどのように評価するかは遺族の間で決めれば良いことです。

 

公平な分配になるように、不動産などについては不動産業者に査定をお願いしてその価値を判定し、各人の取り分として分けることも可能です。

 

このようにして各相続財産を評価してまとめ、財産目録などとして作成します。

 

しかし相続事案では遺族間、相続人間での財産の扱いとは別に、相続税という税金の問題も出てきます。

 

税金は対国の関係ですので民事上の扱いとは全く異なる次元で処理しなければなりません。

 

以下では相続税の処理のための相続財産の評価について見ていきます。

 

 

■財産の評価法は国によって決められている

 

冒頭で述べたように、相続税の処理は民事上の扱いとは全く異なるので処理の方法が複雑になり、面倒さが増してしまいます。

 

相続財産の評価法が国によってあらかじめ決められており、これに則って相続財産を評価しなければならないのです。

 

例えば不動産などを民間の不動産業者に価値判断を委ねてしまうと、相続税額を不当に下げるためにわざと低評価をして、見返りにマージンを受け取るなどの行為が横行する恐れがあります。

 

こういった不正行為や、評価者による評価のずれなど不公平が発生することを防ぐためには国が一律の評価法を定め、全国どこでも同じ評価法によって相続財産を評価できるようにしなければなりません。

 

国は「財産評価基本通達」というルールを作り、相続財産の評価法について規定しています。

 

現金や預金といった金銭はそのままの額で評価するので問題は無いのですが、それ以外の不動産などは上記のルールに則って評価しなければなりません。

 

我が国の相続は遺産の中に占める不動産の割合が非常に大きいという特徴があるので、この評価について知っておく必要があります。

 

そして年数経過によって価値を大きく下げる家屋と違って、土地は基本的に価値が低下しないのでその価額が大きくなり、相続税の税負担に大きく影響してきます。

 

次の項で土地の評価についての基本から見ていきましょう。

 

 

■土地の評価法の基本

 

土地の評価法は大きく3つの種類があります。

 

主に宅地を評価するものとして路線価方式、郊外の土地について評価するための倍率方式、宅地以外を評価するための宅地比準方式です。

 

有名なのが路線価ですが、国が発表する路線価という土地評価の指標に土地の面積をかけて基本価を算定するものです。

 

路線価は国税庁が毎年7月中旬ころに発表しますが、評価時点は毎年1月1日時点の評価となります。

 

路線価は全国の税務署で閲覧することができますし、大きい図書館などにも設置されていることがあります。

 

また最近はインターネット上でも閲覧が可能になっています。

 

路線価は土地の評価についての基本的な指標となりますが、単純にこれに面積をかけて評価額が算出されるような簡単なものではありません。

 

様々な調整や補正が入り、複雑な計算を経なければならないため素人には難しく、場合によっては税理士やFPなどの専門家を利用することも必要になってきます。

 

それでは次の項から土地の評価手順について見ていきます。

 

 

■評価する単位を調べる

 

まず評価されるべき土地について、地目や利用の単位となっている区画を確認します。

 

土地の評価は原則として登記簿上の地目別に評価しますが、現況と登記上の地目が異なる場合は現況判断が優先されます。

 

また宅地は自宅用地や駐車場など、異なる目的でその土地が利用されますが、その利用の単位となっている区画ごとに評価しなければなりません。

 

登記簿上の一筆の土地ごとではなく、例えば自宅用地と駐車場用地の評価は別にしなければならないということです。

 

そこに路線価をかけていくのですが、路線価の読み取りが難しいので基本を押さえていきましょう。

 

 

■路線価の見かた

 

路線価は1㎡あたりの価額が千円単位の数字で表されています。

 

その数字が適用になる範囲は矢印で指定されています。

 

路線価図はベースに住所地図が用いられていますので、ご自分の所有する土地の場所は比較的容易に見つけることができます。

 

実際には上記の数字は横にアルファベットが付いていたり、丸や四角、三角などの記号に囲まれていることがあります。

 

丸や四角などの記号は地区区分を表しており、ビル街区や商業地区などの区分を表します。

 

この記号がないエリアは普通住宅地区を表します。

 

地区区分は後述する各種調整、補正の際に影響します。

 

アルファベットは借地権割合を表し、A~G(90%~30%)まであります。

 

借地権割合とはその土地の使用の自由度が落ちることになる貸地などとして使用している場合に評価に調整を加えるためのものです。

 

例えば他人に貸している土地だったり、アパートを立てて他人に利用させているような土地は100%自分が自由に利用できない分その評価を下げることができます。

 

評価を下げるというと不利になると勘違いする方がいますが、誰かに売るための評価ではなく相続税の算出のための評価ですから、評価を下げることができるということは税負担を減らすことができるということですので有利に働きます。

 

 

■自用地の評価法

 

自用地の評価については路線価に各種の調整を加え、これに地積をかけることで評価額が算出されます。

 

この「各種の調整」が非常に複雑で難しいため敬遠されますが以下で概要を見てみます。

 

・奥行価格補正率

土地はその面する道路からどのくらいの奥行きがあるかによって利用のしやすさが変わってきます。

 

奥行きが丁度よい土地の場合は補正が入りませんが、それより奥行きがあっても、逆になさすぎても利用のしやすさが落ちてしまうと考えて評価が下がるようにするのがこの補正です。

 

補正の度合いは上述した地区区分によっても異なってきます。

 

・側方路線影響加算率

正面道路の側方にも道路があり、二つの道路に面している土地は基本的に道路に面している範囲が大きいほどに評価を上げていきますが、道路が交わる角地の使いやすさについての評価もしなければなりません。

 

その為に入るのがこの補正で、使い勝手が悪くなる準角地(道路が交錯せず通り抜けできない角地)は評価が下がります。

 

・二方路線影響加算率

上記のような側方路線ではなく、土地の正面と裏面に道路がある場合の補正です。

 

・その他

他にも不整形な土地、がけ地にある土地、間口が狭い土地等についても対応する補正が入ります。

 

自用地については路線価にこのような補正作業を入れた後で地積をかけて評価額を算出します。

 

 

■貸宅地や借地権の評価

 

地主さんが誰かに貸している土地は借地権が設定されますが、この場合地主ではありながらもその使用は自由にならず強い制限が課されます。

 

その分評価を下げる必要がありますが、そのための方法が上述した借地権割合というものです。

 

地主側からみたその土地の評価は「自用地評価額×(1-借地権割合)」として評価されます。

 

反対に誰かから土地を借りて建物を建てているような場合は、土地に所有権こそなくても借地権という権利を有しています。

 

この権利自体も取引の対象になる価値を持っているのでその分を評価しなければなりません。

 

借地人側から見たその土地の評価額は「自用地評価額×借地権割合」として評価されます。

 

ただし、土地の使用のために金銭の授受が発生しない使用貸借関係の場合は地主の権利が強くなるので、地主側から見た評価は自用地評価額と同じくなり、借地人側からみた評価はゼロ評価となります。

 

使用貸借ではその賃借権はかなり弱く、無条件で相続人に引き継ぐこともできないので評価されないのです。

 

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