相続の際にも使える!不動産売却の際に使える3,000万円控除 | 大阪で相続の相談なら相続カフェ

相続の際にも使える!不動産売却の際に使える3,000万円控除

不動産の相続を考える場合、すでに独立してしまった子供は親の不動産を必要としないので、売却を考えていると思います。

 

住宅の売買は、数千万円や億単位の大きなお金が動くため、売った年には巨額の所得が計上されることになります。そのため、所得に対する税金も百万円単位になるケースも少なくありません。

 

一定のケースにはそのようなことが起こらないよう、所得から3,000万円を差し引く特別控除の制度があります。住まいを売った場合の3,000万円特別控除はかつてよりありましたが、これは住み替えに使うための制度で、相続に際しては発生前の生前に使える制度です。

 

平成28年分の確定申告から、相続した空き家を売った場合にも3,000万円の特別控除が利用できるようになりました。これであれば相続後に使えます。

 

相続においても利用できる3,000万円の特別控除はどのような制度なのか、どういった点に気をつけるべきかを見ていきます。

 

なおこの2つの制度以外にも、不動産売却については買い替えの特例など税負担を抑えられるいくつかの特例があります。1つだけ特例を使おうとするのならいいのですが、2つ以上の特例は同時に使えない場合が多いのでその点は注意ください。

 

居住用財産の3,000万円特別控除

原則的な要件と計算例

あくまでも住み家となっている不動産を売却した場合に使える特例です。

 

不動産を売却した場合、通常は売却代金から売却にかかった費用と取得費を差し引いて計算した譲渡所得に対し、所有期間が5年超の場合は所得税15.315%と住民税5%がかかります。所有期間が5年以下の場合は、所得税30.63%・住民税9%と高くなります。

 

取得費は購入代金を基にしますが、建物は経年劣化した分だけ価額を差し引きます。例えば

 

売却代金:1億円

売却にかかった費用:仲介手数料 297万円 

          印紙代など 3万円

取得費:4,700万円

所有期間:6年3カ月

 

のケースでは、譲渡所得は、1億円-297万円-3万円-4,700万円=5,000万円となり、所得税が765万7,500円、住民税が250万円かかります。

 

しかし居住用財産の3,000万円特別控除を活用すると、譲渡所得から最大3,000万円差し引くことができます。

 

上記の事例では譲渡所得が2,000万円となり、所得税は306万3,000円、住民税は100万円にまで下がります。また譲渡所得3,000万円以下の場合は、税金がかからなくなります。

 

さらに所有期間が10年超の場合は、6,000万円以下の部分に関して所得税率10.21%と住民税率4%の軽減税率が適用されます。この特例に関しては3,000万円特別控除との併用も可能です。

 

上記の事例で所有期間が6年3カ月ではなく11年3カ月であった場合、所得税は204万2,000円、住民税は80万円とさらに下がります。

 

売却時に住んでいなかった場合

住んでいる不動産を売却している際に受けられる特例ではありますが、相続のことを考えてお年寄りの方が売却する場合には、老人ホームに住まいをうつしているようなケースもあります。この場合、条件付きで3,000万円特別控除の対象となります。

 

住まなくなってから3年後の12月31日までに売却していれば、対象となります。

 

建物を取り壊し更地にして売った場合も居住用財産の特例は利用できますが、取り壊した日から1年以内に売却することが要件になっています。

 

夫婦共有の物件を売却するような場合

例えば建物・土地とも半分ずつ共有しているような場合は、夫婦それぞれで3,000万円の特別控除を受けることができ、計6,000万円控除できます。

 

気をつけないといけないのは、建物の所有者が売却した場合に認められている特別控除なので、建物が夫所有、土地が妻所有のようなケースは、合計して6,000万円の控除は受けられません。

 

その他適用にあたって注意すべき点

・別荘や賃貸・事務所専用は認められない

「居住用財産」の特例ですので、普段住んでいるわけではない別荘、アパートなど他人へ貸し付けている物件、自営業で専ら事務所として使っている不動産は3,000万円控除が認められません。

 

・自宅兼事務所は居住用部分のみ特別控除の対象

例えば、500㎡は居住用、500㎡は事務所として使っている物件を売却し5,000万円の譲渡所得が発生した場合、2分の1にあたる2,500万円に対してのみ3,000万円控除の対象となります。

 

この場合もう2分の1にあたる2,500万円は特別控除対象外となり、所得税は382万8,700円、住民税は125万円と、全てが居住用の物件より高くなります。

 

・親戚縁者に売っても対象外

第三者に売る形の取引でない場合は、特別控除対象外としています。

 

1年前や2年前にこの特例を使っていた場合は対象外

短期間に何度も利用できる特例ではありません。

 

相続した空き家の3,000万円特別控除

原則的な要件

住んでいた人の死亡により空き家になることが要件のため、死亡者といっしょに子供などの同居人がいた場合、相続税で優遇されることはあっても、その後売却したときにこの特例を使うことはできません。

 

別の家に住んでいる相続人が空き家を売却するときに利用でき、居住用財産の特例と同様に3,000万円の特別控除を受けることができます。そのままの形で売却しても、建物は壊して更地にして売却しても特別控除を受けることはできます。

 

建築時期や売却代金などにより制限

空き家の特例は居住用財産の特例と違って、建築時期や売却代金、耐震基準により制限がつけられているため、空き家を売っても受けられない事例が多くあります。

 

下記の点に気をつけてください。

 

・売却代金1億円以下(高額な物件は認められない)

・平成25年1月2日以降に相続開始

・平成28年4月以降に売却

・昭和56年5月31日以前に建築(築30年を超える古い家が要件)

・マンションのような区分所有登記されているものは認められない。

・建物を取り壊さず売却する場合は、耐震改修を行い一定の耐震基準を満たすこと

 

これらに関しては確認のため、

 

・市町村で発行される空き家の確認書

・法務局で発行される登記事項等証明書

・売買契約書のコピー

・耐震基準適合証明書のコピー(更地売却の場合は不要)

 

を確定申告書といっしょに提出することになっています。この要件では厳しいと感じる場合は、相続対策として生前に家を売却し、居住用財産の3,000万円特別控除を活用することも考えられます。

 

相続直前に住んでいなかった場合

空き家の特例においても、居住用財産の特例と同様の「3年要件」があります。この特例の場合は、相続開始日から3年後の12月31日までに売却することが要件です。相続してから4年もたってしまうと特別控除は使えません。

 

また居住用財産の特例のように「住まなくなってから3年後の12月31日まで」という要件ではありませんので、生前に老人ホームを本拠として入居していたケースは対象外になってしまいます。

 

複数の相続人が共有した場合の計算例

亡くなった人1人で所有していた物件でも、売却が前提の場合は、例えば子が3人いたら全員で法定相続分どおり均等に相続することもありえます。

 

建物も土地も3分の1ずつ相続する場合は、人数分だけ3,000万円の特別控除を使うことが可能です。例えば空き家の譲渡所得が9,000万円であった場合、各相続人の譲渡所得は共有持ち分で割って3人とも3,000万円ずつになります。

 

昭和60年に建築であったり売却代金が1億5000万円であったりする場合は、空き家の特例が使えず、3人ともそれぞれ所得税459万4,500円、住民税150万円を支払うことになります。なお、所有期間は相続開始前の購入時から通算できるので、たいてい5年超(所得税率15.315%と住民税率5%のケース)になると考えられます。

 

しかし要件をクリアして空き家の特例が使える場合は、3人とも3,000万円の特別控除が適用され、所得税・住民税を払わずに済みます。

 

なおこの特例においても、土地しか相続していない相続人は使えなくなってしまいます。

 

その他適用にあたって注意すべき点

・親戚縁者に売っても対象外

これは居住用財産の特例と共通しています。

          

・相続開始後賃貸・事務所にすることは認められない

空き家がもったいないからといって、相続した後に一時的にでも貸してしまうと特例は使えなくなってしまいます。

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