お墓、仏壇を購入すると節税になる?!
・人の死と相続のあり方
人はこの世に生まれた時点で人権を備え死亡を持って相続が発生します。
生前に持っていた財産については「所有権」によって保護されているため、勝手に処分をすることはできません。
時に名義が保存されている財産に関しては公式な手続きを行わなければ所有権が移転したと認められません。
万が一勝手に処分をしてしまった場合には、のちに相続人同士でのトラブルになったり、場合によっては罪に問われてしまう可能性があります。
これは、人間がなくなった後もその財産いついては保護されるべきという概念のもと、法律で保護されているのです。
・仏具は非課税?祭祀財産とは
相続の財産というのは金銭的価値を持つもの、実質的な価値はないもののその価値を保証されているもの、あるいはマイナスの財産(借金や負債など)など様々なものが存在します。
この「生前に所有していた財産」という線引きは専門家の判断が必要になる場合もありますが、まずは名義を保存されているものなど、発見しやすいものから探してゆくと良いでしょう。
相続財産というのは通常「相続税の課税」の対象となります。財産の中でも他に類を持たないのが「祭祀財産」です。
人間の「死」に伴う必要費用などがこれに該当しますが、これらは「非課税対象」になります。例えば、「仏壇」「お葬式」「お墓」などがこれに該当します。これらの課税対象外の財産を「祭祀財産」と言います。
・相続税がかからない財産の基準について
1)墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物
ただし、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります。
また仏具が黄金製(K18や750など純度を示す刻印のあるもの)であり、資産価値が非常に高いものについては、祭祀財産としてみなされない場合があります。
ここで注意していただきたいのが、仏具=非課税だから大丈夫!という認識ではならないのです。
祭祀財産と認められたものに関しては課税対象外という判断がもらえるのであって、勝手な認識で課税か非課税かを決められるわけではないので、注意が必要です。
・お墓の相続って?
民法第897条に「祭祀に関する権利の承継」というのがあります。
お墓の設置されている通称「墓地」は、通常の不動産とは少し違い「墓地」という選択肢のほか使えないように制限がされております。
そのため、墓地の扱いは所有者と地主という関係ではありますが、財産という扱いにおいては登場しない存在となります。第1項には「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。
ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。」と記されており、法律で承継について記されていることから、あくまでも習慣に従うという前提があります。
仮にもお墓が「相続財産」だった場合、亡くなられた方の借金が多すぎたなどの「相続を放棄せざるを得ない状況」であった場合、相続を放棄するということになれば、お墓も仏壇も含めて「相続放棄」となり、初めから相続関係になかったものとしてみなされてしまいます。
そうなると、承継されることなく、先祖が途絶えてしまうということになります。
これはいかがなものでしょうか?ということで、祭祀財産については民法で承継について定められており、法定相続人や相続財産などの部類とは違い、承継に関する権利などを制限することはせず「習慣」に従うということを法令で定めることで、先祖が守られているのです。
・祭祀財産は相続税の節税と関係があるの?
結論から言いますと、関係あります。相続税の節税対策として注目を浴びており、「知っている場合に限り活用できる」節税方法になります。
あらかじめ節税を考える方であればたどり着く内容ではあります。そもそも相続税自体の認識が薄いため、興味がある方は自分で調べるなどのプロセスの中に登場するのが「節税対策」というキーワードです。
相続税のカラクリを簡単に説明すると、亡くなられた方の所有していた財産については、その財産を相続するものに対して「相続税の課税」を行うことになりますが、非課税のもに関しては課税を行うことはありません。
そのため、亡くなった段階での「課税対象相続財産」次第ということになります。亡くなってからでは「課税財産」となってしまうものでも、生前に非課税の祭祀財産として持っておくことで、その費用は相続財産から外れます。
言葉だけだと伝わりにくいかもしれないので、金額を仮定して例をあげてみます。
(ケース1)
亡くなったAさんは現金を4500万円持っておりました。相続人はBさんCさんの2人です。相続税の基礎控除は3000万円+(600万円x相続人2人)=4200万円となります。財産の4500万円から基礎控除を差し引くと、課税対象額は300万円となります。これは、所有していた財産が「現金」という「課税対象の相続財産」であるからです。
(ケース2)
亡くなったAさんは現金を4000万円持っておりました。相続人はBさんCさんの2人です。相続税の基礎控除は3000万円+(600万円x相続人2人)=4200万円となります。財産総額が相続税の基礎控除額を超えていないため、相続税は発生しません。
さて、2つのケースを考えた時「財産が少なければ相続税の課税の対象にならない」ということがお分かりいただけましたでしょうか。
しかし、お墓が相続税の節税と関係があるというのが今回の趣旨です。では、どうすればケース1の財産額で課税対象から外れることができるのかどうか、説明します。
ケース1の場合に課税対象額は300万円でした。これは現金という課税対象の財産であったがために課税されてしまいました。しかし、相続税課税対象外の「祭祀財産」があることを覚えていますか?Aさんは生前に、自分のお墓や仏具を300万円で購入しました。
すると財産は4200万円となりました。つまり相続税の基礎控除の範囲内で収まるため、課税の対象にはなりません。
これがお墓ではなく、金銭価値の高い「純金」などに換金していた場合、この純金が財産となり、相当金額分が価値として算出され課税対象となってしまいます。
祭祀財産だからこそ許される非課税枠の300万円ということをご理解いただければ、イメージはつかみやすいかもしれません。
・財産が減れば非課税になるのは当たり前じゃないの?むしろ損しているのでは?
本当にそうでしょうか?4500万円という財産のうち300万円を損失と考えるかどうかについて、節税の効果を知れば考え方が変わります。
仮に4500万円という財産を相続し、300万円を課税金額として申告を行い相続税を支払ったとします。
すると、本来の財産は4500万円だったのに、相続税分は国に納税しているため純財産額を下回っています。
その後に、自分たちで300万円のお墓を買ったとすれば、税金を納めた後の財産額から300万円という出費になり、税金分は実質マイナスとなってしまうのです。
生前に300万円でお墓を買っておけば、相続税を課せられることなく、4200万円の純資産プラス300万円分の祭祀財産を取得します。
しかし、相続発生後に相続税が発生し、300万円のお墓を買ったとすると300万円から相続税は引かれてしまうため、支払った税額を4200万円から補わなければ300万円の祭祀財産を購入することができません。
同じ金額のものを買うにしても、納税というマイナスが発生するかしないかという大きな分かれ道になります。
本当のマイナスは「対策すれば払う必要のなかった税金額」であり、生前の購入金額分ではありません。いずれは必要になる祭祀財産などの非課税財産を生前に買うことで、財産額を落とし相続税の対策として活用することもできるというお話でした。
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