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愛人、内縁の妻に財産を相続させたい!やっぱり本妻に財産を取られる?

基本的に、夫が亡くなった場合、相続権はその妻子にあります。妻が財産の半分を受け取り、残りの半分を兄弟で均等に分けます。これが法定相続分です。

 

このことから分かるように、法律的に言えば、愛人や内縁の妻に相続権はないことになります。

 

それでも自分の家族には相続させたくない、愛人に全財産を相続させたいんだ、と考える人もいます。そういったときには、遺言書を作成する方法が有効です。ただし、その場合でも、妻子による遺留分減殺請求があると、愛人は財産の半分しか相続できません。

 

そこで、今回は確実に愛人や内縁の妻に全財産を相続させることはできるのか、このあたりについて解説していきます。

 

  1. 特別縁故者の制度で愛人が相続するケースも

 

 

基本的には、法律上、相続権のない愛人や内縁の妻に相続させる場合には、遺言書が必要になります。しかし、例外的に相続できる「特別縁故者」の制度がありまます。これは、被相続人の配偶者や子どもなどがすでにいなくなっていて、法定相続人が見当たらない場合に用いられるものです。

 

法定相続人がいないときには、被相続人と特別な縁故のあったもの、いわゆる愛人や内縁の妻に遺産が譲られます。これは、その旨を過程裁判所に申し立てる必要があります。

 

法定相続人の不在が確定してから3ヶ月以内に「特別縁故者の相続財産分与の請求」を行います。

 

  1. 遺言書によって愛人や内縁の妻に相続させる

 

 

次に最も一般的な、被相続人の妻子が存在していて、遺言書がなければ愛人が財産をもらえない場合を見ていきます。

 

2-1. 遺言書は法定相続人よりも優先される

これが大事なポイントです。法定相続人よりも、被相続人の遺言書のほうが優先されます。これは、被相続人の遺志を尊重しようという考えからくるものです。

 

2-2. 遺留分によって愛人の受け取る財産が半分に

ただし、冒頭でも述べたように、被相続人の遺志が100%優先されるわけではありません。たとえば、「Aさん(愛人)に自分の財産を全て与える」という内容の遺言書を書いていたとします。それが100%実行されてしまうと、残された妻子が生活できなくなってしまうことがあります。

 

これでは、妻子の人権侵害にも相当してしまいます。そこで、被相続人の意思と妻子の人権との調和の観点から、遺留分という制度が認められています。

 

遺留分というのは、法定相続人が最低限得るべき財産を請求する権利です。遺留分の権利は、配偶者と直系卑属である子や孫、直系尊属である父母や祖父母に認められています。兄弟姉妹には認められていません。

 

遺留分は以下のように定められています(民法1028条)。

 

・直系尊属のみが相続人であるときは、相続財産の三分の一

・それ以外の場合は、相続財産の二分の一

 

配偶者や直系卑属であれば、遺留分は常に二分の一です。つまり、被相続人は愛人に全財産を相続させたいと思っても、妻子に遺留分減殺請求をされてしまうと、二分の一しか愛人に相続させることができません。

 

  1. 相続人排除によって愛人に全財産を相続させる

 

 

二分の一じゃ嫌なんだ、どうしても全財産を愛人に! と固い決意を持った被相続人の場合もあります。このときは、一定の条件のもとで相続人排除をする方法が残されています。

 

それこそ、配偶者である妻から日々、邪険な扱いをされていて罵詈雑言を浴びせられ、子からは虐待を受けていた、というような過剰なケースの場合に認められる制度です。こういったときに、妻や子を相続人から排除して、自分を心から愛してくれる愛人に全ての財産を譲ることができます。

 

3-1. 相続人排除の方法

相続人による虐待や重大な侮辱行為があるときに、被相続人は家庭裁判所に対して「相続排除」ができます。相続排除の手続きは、被相続人自ら行ってもいいですし、遺言書に記載して遺言執行人に任せる方法もあります。

 

存命中は妻が怖くて自分では相続排除の手続きができないということがあります。その場合には、遺言書に相続排除の旨を載せておくのが良いです。このときは、遺言執行者も遺言書で指定しておく必要があります。

 

もちろん、相続排除が成功すれば、もともと遺留分が認められていたはずの妻子に、それがなくなります。なので、遺留分減殺請求によって愛人への財産が半分になる、というリスクも避けられます。

 

もともと妻子の人権保護のための遺留分でしたが、生前に被相続人への人権侵害があったということで、それと相殺してなくなるという考え方が基礎にあります。

 

3-2. 相続排除の要件

相続排除は、妻子の遺留分という最低限の生活を保障する権利を剥奪することに他ならないために、家庭裁判所も容易には認めません。この項目では、相続排除の条件について見ていきます。

 

■被相続人に対する虐待

被相続人への虐待が認められると、相続排除も認められる傾向があります。虐待の例としては、それこそ毎日のように暴行を加えられていたり、恫喝されて家事を強要されていたり、介護が必要な状態であるにも関わらず満足な食事も与えられなかった、などが挙げられます。

 

■被相続人に対する侮辱行為

被相続人への重大な侮辱行為があったときにも、相続排除が受け入れられます。日常的に侮辱や悪口を繰り返されていたり、知人に秘密をばらされて名誉を傷つけられていた、などが例として考えられます。

 

■その他著しい非行

虐待や侮辱行為以外であっても、事件を頻繁に起こしたり、お金を執拗に請求していたり、家を何度も空けていたり、といった著しい非行がある際にも、相続排除が認められます。

 

相続排除が認められるには、ちょっとした夫婦喧嘩程度では足りません。一般的に言って重大な非行が相続人に認められなければなりません。いったん認められた相続排除であっても、相続人の意思で取り消し可能です。相続排除の趣旨からすれば、当然のことと言えます。

 

  1. 相続欠格によって愛人に全財産が相続される

 

 

極めてレアなケースですが、相続欠格によって愛人に全財産を譲ることができる、ということも考えられます。相続欠格とは、その名の通り相続人が相続権を欠格事由によって剥奪されることです。

 

たとえば、相続人が被相続人の生命を侵害する行為をした場合や、脅して自分に都合の良い遺言書の作成を強要した場合に認められます。

 

相続欠格は、被相続人の意思は関係ありません。これが相続排除との大きな違いです。相続排除よりも条件は厳しく、認められるケースもより少ないものです。

 

  1. 愛人との子どもに相続権はあるの?

 

 

最後に、愛人との間に子どもがいる場合、その子どもに相続権はあるかどうかについて見ていきます。愛人には相続権がないと話しましたが、被相続人と血のつながりがある子どもはどうなのでしょうか。

 

5-1. 認知されているかどうかで決まる

愛人のような婚姻関係のない男女の間の子は、法律上、非摘出子と呼ばれています。この非摘出子が相続権を持っているかどうかは、被相続人によって認知されているかどうかによって決まってきます。

 

認知されていれば、相続権が認められます。他の相続人とともに遺産分割協議をする権利がありますし、その非摘出子の同意なしに協議を進めることはできません。

 

逆に認知されていなければ、非摘出子に相続権は認められません。たとえば自分の財産は非摘出子に全て渡す、と被相続人が明言していたとしても、非摘出子は相続できません。

 

5-2. 認知をしていない非摘出子に相続させたい

認知をしていない愛人との子どもに、財産を相続させたいという場合もあります。しかし、既に述べたように認知をしていないと、非摘出子に相続権は認められません。なので、生きているうちに認知をするのが良い方法です。

 

■遺言で認知をする

しかし、本妻や摘出子の関係などで、自ら届け出ることが難しいこともあります。そのときは、遺言で認知をするのが有効です。

 

遺言で認知をするには、法律に定められた形式でなければ効力が認められません。基本的には、「公正証書遺言」を使います。証人2名以上の立会いのもとで作成されます。

 

特に第三者に遺言による認知を知られたくない場合には、弁護士に依頼をしましょう。弁護士なら秘密を守って遺言作成をしてくれます。遺産相続に強い弁護士を選べば、愛人への相続やその子どもの認知など、色々な相談に乗ってもらうことができます。

 

  1. 愛人or内縁の妻に財産を相続させたい!についてまとめ

 

 

愛人や内縁の妻には、法律上、相続権は認められません。ですから、黙っていたら法定相続分にしたがって、妻子に被相続人の財産は渡ってしまいます。それが嫌なら、遺言書を作成して愛人や内縁の妻に財産を譲っていくことになります。

 

ただし、その場合でも遺留分の制度によって二分の一しか愛人には相続させることができません。確かに、相続排除や相続欠格によって妻子の相続権が剥奪されて、愛人に全ての財産が相続されることも考えられます。しかし、そういったケースは極めて稀です。

 

結論としては、愛人や内縁の妻にも財産を相続させることはできるが、遺留分を請求された場合妻子に半分は取られてしまうのは諦めるしかない、ということになるでしょう。

 

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相続についてのお尋ねが届いたら

相続の手続きをしている最中、もしくは終わってきた頃に税務署から「相続についてのお尋ね」が送付されることがあります。何か手続き漏れがあるのではないかと不安になる方もいらっしゃるでしょうが、おたずねの趣旨を理解して冷静に対処しておくのが良いです。

 

相続税申告義務の概要

書類の内容に入る前に、相続税の申告義務について簡単にまとめます。まず下記のAを計算します。

 

A = 遺産の総額 - 相続債務 - 基礎控除

 

このAに関して、A≦0であればまず申告不要、A>0ならば申告が必要な可能性ありになります。相続債務は、相続した借金以外に葬儀費用なども含みます。基礎控除は、3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算します。

 

例えば

 

遺産総額:5,000万円

相続債務:500万円

法定相続人の数:妻・子2人

 

であれば、A=5,000万円―500万円-4,200万円=300万円>0のため、申告が必要な可能性があります。法定相続人がもう1人いれば、基礎控除が4,800万円のため申告不要と判定できます。

 

お尋ねの趣旨

「相続についてのお尋ね」は、要は上記の判定結果を出してくださいということです。ただ相続人が相続財産や債務の計算にあまり詳しく無ければ、税理士に作成をお願いすることになります。

 

相続税の申告期限は、相続開始を知った日から10ヵ月後です。お尋ねは、期限後・期限前どちらのタイミングにおいても、税務署から送られてくることがあります。

 

|申告期限後の場合

申告漏れの可能性が高い方に送られてきます。不動産業者・金融機関など税務署が調査できるため、財産の額をつかんでいる可能性があるからです。

 

また被相続人が過去に(退職所得を除く)各種所得合計が2,000万円を超え、財産3億円以上を所有していたような場合は、財産債務調書を出している可能性があり、これにより税務署が相続財産・債務の額を推測していることも考えられます。

 

|申告期限前の場合

申告義務がありそうな方への催促の意味あいがあります。これも上記のように、事前に情報をつかんでいることが考えられます。

 

お尋ねを出すべきか?

|申告期限後の場合

申告期限後の場合は、申告が必要か不要かに関係なく出すべきと言えます。お尋ねに提出義務はありませんが、未提出のままでいると税務調査の可能性が高まります。

 

A≦0で申告義務がなければお尋ねを出して終わりですが、A>0の場合はお尋ねを出すだけでなく、その後相続税申告書の期限後申告を行うことになるでしょう。

 

後述するように、相続財産の額を概算から正確な数値にすることで、A≦0に変わる可能性もあります。この場合申告が義務付けられている特例の利用を除けば申告義務は無くなりますが、お尋ねが来た以上は申告書を出しておいたほうが税務調査の可能性が低くなります。

 

|申告期限前の場合

申告期限前の場合は、申告義務があるかどうかによります。

 

A>0の場合は、まだ期限前ですからお尋ねは出さなくてもよく、期限までに相続税申告書を出せば大きな問題は無いです。

 

相続税申告書を作成している、もしくは税理士に進めてもらっている段階であればよいのですが、全然作成に入っていない場合は早急に進める必要があります。どうしても期限後申告になる場合は、期限までにお尋ねだけでも出しておくことも考えられます。

 

A≦0の場合は、お尋ねを出しましょう。こちらについても提出は任意ですが、申告義務が無ければ無いことを申し出た1つの証にもなります。この場合も、未提出は税務調査の原因になります。

 

記載事項の概要

|相続人・財産債務額・基礎控除の記載は申告書とほぼ同じ

相続についてのお尋ね

https://www.nta.go.jp/tokyo/topics/souzokuzei/pdf/29_03.pdf

ですが、

 

・3の相続人欄

・4~8の各相続財産額

・9の相続時精算課税適用贈与財産欄

・10の贈与財産欄

・11の相続債務額

 

これらはいずれも、相続税申告書の記載事項でもあります。ただし、

 

4 不動産

5 現金預金以外の金融資産

6 現金預金

7 保険金・死亡退職金

8 4~7以外の財産

 

はシンプルな形で記載事項が異なっており、比較的わかりやすいものとなっています。相続税申告書では、種類別に細かく計算・記載した上で、第11表にまとめて記載する項目です。

 

12欄は相続税申告義務の判定欄ですが、ここで3欄をもとに基礎控除額を算定し、相続財産―相続債務と大小を比較します。

 

|概算で申告書の途中まで算定するようなもの

お尋ねの作成は、申告書の大枠を途中まで作っているようなものです。ただし、例えば4欄の不動産評価額はお尋ねでは路線価×面積(もしくは固定資産税額×倍率)ですが、実際の評価はもっと複雑です。

 

5の金融資産でも、上場株式の評価額は概算よりもう少し下がるよう、有利な評価方式になっており、そのためには詳細な計算が必要です。

 

概算は、実際の申告における評価額より多めに見積もることが多いです。そのため申告書を作成してみると、相続税が発生しないこともあります。例えば上場株式の評価額ですが、A社株式を10,000株持っていたとして、

 

死亡した日(平成29年10月10日)の終値:3,000円

平成29年10月の終値平均:2,800円

平成29年9月の終値平均:2,500円

平成29年8月の終値平均:2,200円

 

であった場合、概算では3,000円×10,000株=3,000万円と算出するでしょうが、実際の相続税評価額はこの中から最も安い2,200円を使うことができ、2,200万円となります。800万円評価額が下がることで実際にはA≦0になることもありえます。

 

提出義務ありだからと言って相続税が発生するとは限らない

概算を正確な評価額にするだけでなく、特例を用いることによって相続税が0円になることがあります。この場合、申告が義務づけられているものがあるので注意が必要です。

 

|適用にあたって申告が必要な特例がある

4欄の不動産評価額に関しては、住宅用土地であれば330㎡の部分まで8割評価額が下がる小規模宅地等の特例もあります。また、少なくとも1億6,000万円が遺産総額から差し引ける配偶者の税額軽減もあります。

 

配偶者の税額軽減や、小規模宅地等の特例を利用する場合は、その結果として相続税が発生しない場合であっても、相続税の申告が必要になります。

 

例えば相続した土地の面積が300㎡で、原則的な相続税評価額が4,000万円であった場合、小規模宅地等の特例を活用できれば800万円にまで下がります。これだけ下がるとお尋ねの概算では相続税の発生が予想されていても、実際に申告してみれば0円になることもありえます。

 

申告期限が過ぎた場合でも必ずしも活用できないわけではないので、期限後申告になるとしても申告を行いましょう。

 

|お尋ねではわからない税額控除も

上記以外で、相続税の未成年者控除・障害者控除といった控除を受けることができ、そのことにより該当する相続人の税額を引き下げることができますが、お尋ねではこれらの控除までは計算しません。

 

未成年者控除は20歳未満の相続人に対する税額控除であり、税控除額は(20歳―相続開始時の年齢)×10万円となります。

 

障害者控除は、障害者である85歳未満の相続人に対する税額控除であり、税控除額は(85歳―相続開始時の年齢)×10万円となります。なお特別障害者に該当すれば10万円→20万円となります。

 

これらの控除は、相続税額を(相続割合に応じて)各相続人に按分してから活用できる控除で、お尋ねではこの段階の計算までは行いません。活用した結果として相続税額0円となることはありえます。

 

相続対策として被相続人がまとめておくのがよい

全ての相続財産と相続債務を把握していないと、相続税の申告書どころかお尋ねも満足に書けないことになります。相続対策としては遺言を残しておくのが望ましいのですが、そこまで行かなくても相続財産・相続債務を相続人のためにまとめておくのがよいと考えられます。

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相続の際にも使える!不動産売却の際に使える3,000万円控除

不動産の相続を考える場合、すでに独立してしまった子供は親の不動産を必要としないので、売却を考えていると思います。

 

住宅の売買は、数千万円や億単位の大きなお金が動くため、売った年には巨額の所得が計上されることになります。そのため、所得に対する税金も百万円単位になるケースも少なくありません。

 

一定のケースにはそのようなことが起こらないよう、所得から3,000万円を差し引く特別控除の制度があります。住まいを売った場合の3,000万円特別控除はかつてよりありましたが、これは住み替えに使うための制度で、相続に際しては発生前の生前に使える制度です。

 

平成28年分の確定申告から、相続した空き家を売った場合にも3,000万円の特別控除が利用できるようになりました。これであれば相続後に使えます。

 

相続においても利用できる3,000万円の特別控除はどのような制度なのか、どういった点に気をつけるべきかを見ていきます。

 

なおこの2つの制度以外にも、不動産売却については買い替えの特例など税負担を抑えられるいくつかの特例があります。1つだけ特例を使おうとするのならいいのですが、2つ以上の特例は同時に使えない場合が多いのでその点は注意ください。

 

居住用財産の3,000万円特別控除

原則的な要件と計算例

あくまでも住み家となっている不動産を売却した場合に使える特例です。

 

不動産を売却した場合、通常は売却代金から売却にかかった費用と取得費を差し引いて計算した譲渡所得に対し、所有期間が5年超の場合は所得税15.315%と住民税5%がかかります。所有期間が5年以下の場合は、所得税30.63%・住民税9%と高くなります。

 

取得費は購入代金を基にしますが、建物は経年劣化した分だけ価額を差し引きます。例えば

 

売却代金:1億円

売却にかかった費用:仲介手数料 297万円 

          印紙代など 3万円

取得費:4,700万円

所有期間:6年3カ月

 

のケースでは、譲渡所得は、1億円-297万円-3万円-4,700万円=5,000万円となり、所得税が765万7,500円、住民税が250万円かかります。

 

しかし居住用財産の3,000万円特別控除を活用すると、譲渡所得から最大3,000万円差し引くことができます。

 

上記の事例では譲渡所得が2,000万円となり、所得税は306万3,000円、住民税は100万円にまで下がります。また譲渡所得3,000万円以下の場合は、税金がかからなくなります。

 

さらに所有期間が10年超の場合は、6,000万円以下の部分に関して所得税率10.21%と住民税率4%の軽減税率が適用されます。この特例に関しては3,000万円特別控除との併用も可能です。

 

上記の事例で所有期間が6年3カ月ではなく11年3カ月であった場合、所得税は204万2,000円、住民税は80万円とさらに下がります。

 

売却時に住んでいなかった場合

住んでいる不動産を売却している際に受けられる特例ではありますが、相続のことを考えてお年寄りの方が売却する場合には、老人ホームに住まいをうつしているようなケースもあります。この場合、条件付きで3,000万円特別控除の対象となります。

 

住まなくなってから3年後の12月31日までに売却していれば、対象となります。

 

建物を取り壊し更地にして売った場合も居住用財産の特例は利用できますが、取り壊した日から1年以内に売却することが要件になっています。

 

夫婦共有の物件を売却するような場合

例えば建物・土地とも半分ずつ共有しているような場合は、夫婦それぞれで3,000万円の特別控除を受けることができ、計6,000万円控除できます。

 

気をつけないといけないのは、建物の所有者が売却した場合に認められている特別控除なので、建物が夫所有、土地が妻所有のようなケースは、合計して6,000万円の控除は受けられません。

 

その他適用にあたって注意すべき点

・別荘や賃貸・事務所専用は認められない

「居住用財産」の特例ですので、普段住んでいるわけではない別荘、アパートなど他人へ貸し付けている物件、自営業で専ら事務所として使っている不動産は3,000万円控除が認められません。

 

・自宅兼事務所は居住用部分のみ特別控除の対象

例えば、500㎡は居住用、500㎡は事務所として使っている物件を売却し5,000万円の譲渡所得が発生した場合、2分の1にあたる2,500万円に対してのみ3,000万円控除の対象となります。

 

この場合もう2分の1にあたる2,500万円は特別控除対象外となり、所得税は382万8,700円、住民税は125万円と、全てが居住用の物件より高くなります。

 

・親戚縁者に売っても対象外

第三者に売る形の取引でない場合は、特別控除対象外としています。

 

1年前や2年前にこの特例を使っていた場合は対象外

短期間に何度も利用できる特例ではありません。

 

相続した空き家の3,000万円特別控除

原則的な要件

住んでいた人の死亡により空き家になることが要件のため、死亡者といっしょに子供などの同居人がいた場合、相続税で優遇されることはあっても、その後売却したときにこの特例を使うことはできません。

 

別の家に住んでいる相続人が空き家を売却するときに利用でき、居住用財産の特例と同様に3,000万円の特別控除を受けることができます。そのままの形で売却しても、建物は壊して更地にして売却しても特別控除を受けることはできます。

 

建築時期や売却代金などにより制限

空き家の特例は居住用財産の特例と違って、建築時期や売却代金、耐震基準により制限がつけられているため、空き家を売っても受けられない事例が多くあります。

 

下記の点に気をつけてください。

 

・売却代金1億円以下(高額な物件は認められない)

・平成25年1月2日以降に相続開始

・平成28年4月以降に売却

・昭和56年5月31日以前に建築(築30年を超える古い家が要件)

・マンションのような区分所有登記されているものは認められない。

・建物を取り壊さず売却する場合は、耐震改修を行い一定の耐震基準を満たすこと

 

これらに関しては確認のため、

 

・市町村で発行される空き家の確認書

・法務局で発行される登記事項等証明書

・売買契約書のコピー

・耐震基準適合証明書のコピー(更地売却の場合は不要)

 

を確定申告書といっしょに提出することになっています。この要件では厳しいと感じる場合は、相続対策として生前に家を売却し、居住用財産の3,000万円特別控除を活用することも考えられます。

 

相続直前に住んでいなかった場合

空き家の特例においても、居住用財産の特例と同様の「3年要件」があります。この特例の場合は、相続開始日から3年後の12月31日までに売却することが要件です。相続してから4年もたってしまうと特別控除は使えません。

 

また居住用財産の特例のように「住まなくなってから3年後の12月31日まで」という要件ではありませんので、生前に老人ホームを本拠として入居していたケースは対象外になってしまいます。

 

複数の相続人が共有した場合の計算例

亡くなった人1人で所有していた物件でも、売却が前提の場合は、例えば子が3人いたら全員で法定相続分どおり均等に相続することもありえます。

 

建物も土地も3分の1ずつ相続する場合は、人数分だけ3,000万円の特別控除を使うことが可能です。例えば空き家の譲渡所得が9,000万円であった場合、各相続人の譲渡所得は共有持ち分で割って3人とも3,000万円ずつになります。

 

昭和60年に建築であったり売却代金が1億5000万円であったりする場合は、空き家の特例が使えず、3人ともそれぞれ所得税459万4,500円、住民税150万円を支払うことになります。なお、所有期間は相続開始前の購入時から通算できるので、たいてい5年超(所得税率15.315%と住民税率5%のケース)になると考えられます。

 

しかし要件をクリアして空き家の特例が使える場合は、3人とも3,000万円の特別控除が適用され、所得税・住民税を払わずに済みます。

 

なおこの特例においても、土地しか相続していない相続人は使えなくなってしまいます。

 

その他適用にあたって注意すべき点

・親戚縁者に売っても対象外

これは居住用財産の特例と共通しています。

          

・相続開始後賃貸・事務所にすることは認められない

空き家がもったいないからといって、相続した後に一時的にでも貸してしまうと特例は使えなくなってしまいます。

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知っておきたい生前贈与の種類

生前贈与とは、生きているうちに自分の財産を第3者に譲り渡すことを言います。

 

生前におこなう取引なら個人の自由なのでは?と思ってしまいますが、それが許されてしまうと相続財産や相続手続きはもちろん、相続税なんてものを考える必要がなくなってしまいます。

 

なぜそれが許されてはいけないのか?それは、誰もが誰にでも自由に贈与をすることができてしまうと、「証拠」が残ることがないため、誰が何をもらったのかなど「所有権」が曖昧になってしまいます。生前に贈与する場合は「贈与」という形式をとって一定のルールを設けましょうということです。

 

あらかじめ生前に贈与をすることで、公式に財産の所有権を移転させ財産の持ち主を明確にすることで、トラブルのないよう財産を保護するための制度と言えます。

 

贈与の役割

相続財産は、相続の発生時の評価額を算出し、それに基づいて相続税の計算が行われます。

 

しかし、生前に所有している財産を第3者に贈与することで、所有権を移転させ自己の所有財産額を減らし、相続発生時の所有財産の額を減らし最終的な相続税を減額させることが可能です。

 

また、相続発生時の所有権についても相続財産としての取り扱いにはならないため、贈与対象者の財産については遺産の分割対象外となります。

 

贈与にはルールがありますので、贈与の手段などについてご紹介してゆきます。

 

贈与税の基本

ひとことに贈与といっても「いくらでも贈与していい」というわけではありません。

 

相続財産の課税を逃れることを目的に、多額の財産を隠蔽されてしまうなど操作をされてはいけないため、このような事態を防ぐべく一定の額を基礎控除額とし、それ以上の贈与については「贈与税」を課税するよう定めているのです。

 

また、贈与をしたという事実を残すことで、所有権の明確化はもちろん、公然に所有を許されるので主に相続に備えて、相続税の軽減や相続発生後の手続きの軽減化などを測るという目的が多く、こうした苦労を考える必要がなくなることも贈与のメリットになります。

 

また一方では、自分の財産を自分の思うように託したいという一心を尊重する意味での、財産権の自由を守ってくれる制度でもあります。

 

相続が発生すると相続財産として法定相続人の間での分割となりますが、贈与に関しては自分で決めることもでき、相続の財産ではなくなるため、自分の意思を保存することができます。

 

1、基本控除額

贈与税の基礎控除として、年間110万円の基礎控除が認められています。

 

つまり1年間を通じて贈与した財産の合計額が110万円を超えなければ税金は課税されません。

 

基礎控除についてはどなたでも適用の対象となりますので、適用条件はありません。また、年間を通じての閑散となりますので、1年が満了した時点で翌年には110万円の新規基礎控除枠が適用されます。

 

不動産などの名義が絡む問題となると、所有権の分割登記に費用がかかってしまいますので、どちらかというと預貯金などの現金価値の贈与が一般的になります。

 

2、配偶者控除

贈与の対象が配偶者の場合、生前贈与において配偶者控除が適用できる場合があります。配偶者控除は2000万円まで認められており、これと基礎控除を合わせると2110万円というのが実質の配偶者の認められる控除金額となります。

 

配偶者の一方から、居住用の不動産などを贈与を受けた際に配偶者を考慮するという考え方の元、設けられているのが配偶者控除です。

 

ただしこれには適用の条件があるので注意しましょう。

①婚姻期間が20年以上である

②過去に配偶者控除の適用を受けていない

③贈与財産が「居住用不動産」または「居住用の不動産の購入資金」のいずれかである

④贈与を受けた居住用不動産または購入した居住用不動産を住居として、継続的に居住すると見込みがある

⑤贈与税の申告をする

これらの条件を満たして、贈与税の配偶者控除を受けることができます。配偶者だから控除がある!安心!ではなく、あくまで手続きを行ってから初めて認められるということを知っておきましょう。

 

3、相続時精算課税

この制度は最終的には相続時に精算される課税制度であり、理解が必要です。控除額は2500万円であり、それ以上を超えた場合は一律20パーセントの贈与税が課せられてゆくという制度になります。

 

根本的な節税というよりは、生前に不動産の名義変更など、配偶者の負担を軽減するために贈与の形式にて手続きをおこない、相続発生時には税金の課税に従うというものです。

 

4、教育資金の一括贈与

教育資金の贈与には、子供一人当たり1500万円の控除枠が認められております。

 

条件としては父母または祖父母から30歳未満の子または孫に対して、「学校等に支払われる教育資金」または「学校等以外に支払われる教育資金」など「教育に関する資金」が適用条件になります。

 

学校以外の場合については500万円までとなります。

 

5、結婚・子育て資金の贈与

あまり聞くことがないかもしれませんが、結婚に伴い支払われる資金についても贈与の控除を受けることができます。控除額は1000万円と十分な金額で、結婚に伴い支払われる資金について、出産や育児などに必要となる資金についての贈与に対して控除が認められます。これは平成27年4月より平成31年3月31日までの間を対象期間としている制度になりますので、よく理解した上で活用しましょう。

 

このように様々な贈与がありますが、贈与を行うにあたっては「理解」が必要になりますので、契約書が必要になる場合や巨額の財産の贈与を検討している場合については、あらかじめ税理士などの専門家に相談をするなど対策が必要です。

 

 

意外な生前贈与方法?保険の活用編

近年では積み立て式の貯金という制度もあり、これは間接的な贈与として活用されている例があります。

 

それが「保険の活用」です。贈与という実感よりも実際には積み立ててゆくようなイメージとなります。

 

例えば、契約者が親であり、被保険者は子供で年間110万円の保険に加入したとすると、毎月の保険金額から積み立て分を貯金してゆき、満期を迎えると返還されるという制度です。

 

また、保険の活用方法として生前に多く加入することで、自分の相続の発生後に受取人に対して金銭的価値を残すという方法も注目が集まっております。

 

保険金にも生命保険の基礎控除枠(どのような保険でも控除される訳ではないので注意が必要です)があり、500万円x法定相続人の数となっております。

 

保険金は原則受取人が受け取りますが、控除額の計算については法定相続人の人数を換算しますので、実際にはもう少し多く枠を認められることが多いです。

 

贈与についてはこのように様々な控除があり、上手に活用することで贈与税をかけず相続に備えることもできます。

 

しかし控除枠の活用が全てでもないことを頭の隅に置いておいてください。

 

実際の生前相続対策と贈与税の基礎控除は別の知識であり、時には贈与税を払って一気に贈与をする場合や少額の贈与税を払って分割する贈与額を増やすことで最終的な税金面の減額へと繋がる場合もあり得るのです。

 

しかし、こうしたここの税金面の相談やアドバイスについては「税理士法」によって定められた資格所有者のみが許されているため、専門家への相談となります。控除枠を活用するばかりではなく「損して得取れ」とはよく言ったもので贈与のケースによっては、贈与税の方が結果的に安く収まる場合もあるのです。

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受取人を変えるだけで節税に?!「相続税と生命保険の関係について」

・相続税ってそもそもいくらなの?

 

「相続税」という言葉、誰しも一度は聞いたことがあるかと思います。

 

しかし実際に相続税を払うかどうかについては、「払う必要があるかどうか」「いくら払う必要があるか」これらについて判断できるかどうかと聞かれると、その定義を知る人数は減少します。それは「誰しもに必ず該当する税金ではない」というのが理由にあります。

 

相続税というと「財産がたくさんある人にだけ課税される制度だ!」などと、一般的には発生しないという認識が強かったのです。そのため、自分の場合は財産もなかったので相続税はかからないだろうという考えの方は多く、実際に発生していない場合も当然あります。

 

その頃の「相続税」というのは相続時点の財産額が「5000万円以上」+「1000万円x(相続人の数)」の合計額を上回った場合に課税されるものでした。

 

つまり相続人が2人だけだったとしても、相続財産が「7000万円以上」あったら相続税について申告をする必要が発生するということになります。

 

「巨額の財産とは無縁だ」と客観視していた時代は変わり、平成27年には相続税の非課税枠は縮小化され、「基礎控除3000万円」+「600万円x(相続人の数)」の合計額を上回る場合に相続税について申告の義務が発生することとなりました。

 

これも同様相続人が2人だとした場合、4200万円以上の財産については相続税の課税対象となるため、従来の金額との差は「2800万円」も減少していることになります。

 

 

この大幅な非課税枠の縮小によって、相続税について考えなければならない方が増えてきました。

 

相続財産には様々な種類がありますので、財産の項目や種類などをあらかじめしっかりと整理しておく必要があります。

 

・生命保険金は相続財産?

 

相続の財産には様々な種類がありますが、中でも扱いに気をつけなければいけないのが「生命保険金」です。

 

生命保険は、通常被保険者が生きている間に加入し、万が一の場合において「指定受取人」に対して保険金が振り込まれるというのが一般的な流れとなります。

 

つまり、相続の発生に伴い、亡くなられた方の保険金が指定受取人に支払われるのです。

 

相続財産というのは、通常「法定相続人」と呼ばれる、亡くなられた方と血縁関係にある人物を相続人として「遺産の分割協議」を行います。

 

当然、亡くなられた方の財産については相続人で平等に相続できるよう法律でも保護されており、相続人間で分配を決めることも許されておりますが、基本的には独り占めなどの不公平が無いよう平穏かつ公然に取得すべき財産となります。

 

ところが「生命保険金」とは個人の意思で加入する保険でもあるため、受取人は任意で指定することが許されております。通常直系の家族を受取人に指定することがほとんどですが、事情により身寄りのない場合などは親族などに委ねる場合もあります。

 

ここで重要なことは、誰が受取人であるかというよりも、「保険金は相続発生後に取得する一種の財産価値ではあるが、相続財産ではない」ということです。

 

さらっと聞くと「明らかな不公平」が発生してしまいそうですが、これがよく相続時のトラブルに発展する理由の一つでもあります。

 

本来亡くなられた方の財産として保険金を考得るのが自然と思うかもしれませんが、保険金は保障されている価値であり、その方の所有している現金や預貯金の価値ではないということです。

 

保険会社と被保険者というのはあくまで「契約の関係」であり、保険金という実質価値を現金価値として所有する関係ではないのです。

 

つまり被保険者は契約段階では「保険金の価値」を保障されているだけであり、その価値相当の金銭を受け取るのは相続が発生後になるため、被保険者が所有している金銭価値としては換算できないのです。

 

また、保険会社と個人との契約関係であるため、保険会社は被保険者に対する保障が発生した際に誰かに保険金を支払わなければなりません。

 

それは、契約者の意思によって自由に決めることができるため、保険会社が選ぶこともできなければ相続人が平等分配を求めることもできないのです。

 

例外として「満期金」というのが存在します。

 

これは保険金の支払い金額のうち一部を積み立て貯金し、あらかじめ定められていた一定期間の満期を迎えた際に還元されるというお金になります。

 

この場合は、指定期間の満期の有無に関わらず「契約者または被保険者」が「本来受け取ることができる保障価値」になるので、満期よりも先に相続が発生してしまった場合には「相続財産」として取り扱われます。

 

そのため、満期金については保険会社の定めに従い「本人が得るはずであった満期までの蓄積した相応価値」について相続財産として、法定相続人の間で遺産の分割協議が必要になります。

 

協議が進行しない場合は民法に従い、「法定相続分」の分配となります。

 

・生命保険金は相続税の課税対象になる?

 

生命保険は相続財産ではありませんが、相続税の課税対象となります。前章で説明した「相続財産ではない」ということについて矛盾を覚えてしまうかもしれませんが、あくまで相続の発生によって支払われる保険金のため、取り扱いは「相続によって取得するもの」としてみなされます。

 

契約関係にない第三者が突然お金を受け取るとすればそれは「贈与」になってしまい、企業が個人に対して「贈与」を行なったのでは、贈与税まで収めなければならないのです。

 

保険会社との関係はあくまで、被保険者 の所有する価値であり、その保障する保険金額は「相続の発生」を持って相続税の定めに従って受取人に支払われるようにできているのです。

 

「相続財産に入らないのだから、いくら受け取ろうとこれは相続財産ではない!相続税はかからないはずだ!」と勘違いをしてしまわないように注意が必要です。

 

・相続税と保険金の関係

 

保険金は、自分に万が一のことがあった時のために個人の意思で加入する制度であり、そこには契約者の「思い」が込められております。

 

当然ながら、契約にあたり支払いを続けることになりその代償として万が一を保障してもらうのですから、これは被保険者の思いを尊重しなければいけません。自分に万が一があった場合に受取人に対し、安心が提供できるよう支払われる保険金には「非課税枠」が設けられております。

 

いくら保険金が入ったからとはいえ、兎にも角にも税金を催促したのでは、本来の守るべき財産価値が損なわれてしまいます。そのため生命保険金には、相続税の非課税枠とは別に「生命保険の非課税枠」というものが設けられております。

 

通常の相続税の控除額とは少し幅が狭いですが、500万円x(相続人の数)の合計額までは非課税となります。

 

受取人を指定することができて相続財産ではないのですが、相続税の課税対象となるため非課税控除枠については「相続人の数」が登場します。そのため、実質その相続人に対しては何のメリットもないのですが、相続税という類において課税をする以上は相続人関係をたどった上での申告ということになります。

 

例えば、相続人がAさんBさんCさんの三人で保険金が1000万円だとして受取人がAさんだった場合、500万円x3人=1500万円が非課税の控除枠となり、Aさんの受け取る1000万円の保険金は「非課税」となります。

 

・保険金の受取人を変えると節税になる?

 

保険金の受け取りには「受取人」の指定がありますが、受取人が誰になるかというのは契約者本人が決めることができますが、一般的には「配偶者」に指定する方が多いようです。

 

これは「夫婦」として生涯を共に過ごすためにも、お互いを支え合い万が一の際にも生活に困らないように加入しておくという習慣からきているようです。

 

特に保険金の場合は「相続の発生」に伴い受け取ることができる相続税の課税対象財産であるため、受取人によっては大幅に課税されてしまう場合もあり、しっかりと考えておくことで節税へとつながるケースもあります。

 

・受取人を誰にするのが一番いいの?

 

保険金の本来の趣旨は「自分に万が一のことがあった場合の、残された家族の生活」を守ることです。

 

特に婚姻関係においては、同年代の結婚が多く年の差が大きいケースの方が少ないと言われております。

 

残された配偶者の生活を保護するべく、配偶者には「配偶者控除」という制度が設けられております。

 

受取人を配偶者にすれば相続税は「1億6000万円」までは非課税となります。

 

「配偶者は相続税なんて払わなくても良い」と勘違いされている方も多いようですが、これは「配偶者控除」によって非課税枠に認められているのが仕組みです。

 

例えば年をとった夫婦の一方に相続が発生してしまった場合、残された配偶者の相続発生も避けられず、その相続人は2回分の相続税を課せられることになってしまいます。

 

1次相続で相続税の後2次相続でも相続税と言われてしまっては、納得がいかないものです。

 

そのため、配偶者は配偶者控除内での相続税が非課税となり、2次相続の際において相続税の対象とすることで相続人は「1度の相続税でいい」ということになります。

 

・受取人を「自分の子供」にすると?

 

保険金の受取人を子供(成人しているものとして)に設定することは当然可能です。

 

その場合は「配偶者控除」は適用されないため、相続税の基礎控除額は3000万円+(600万円x相続人の数)及び生命保険の基礎控除500万円x相続人の数となります。

 

一見配偶者の方が「配偶者控除」の方が「お得」に思えるかもしれませんが、必ずしもいいケースばかりではありません。

 

財産が多ければ多いほど、相続税というのは襲ってきます。

 

しかし分配方法によっては相続税の節税対策を取ることができるのが「受取人の変更」という手段です。

 

配偶者が「保険金」を受け取ったとなると、2次相続の際には必然的に現金として「相続財産」になります。

 

しかし、そのお金を子供があらかじめ受取人として受け取った場合、2次相続の際には「相続財産」として現金1億は登場しません。

 

そのため、相続税の基礎控除をうまく考えて財産を分配しておくことで、2次相続の際の相続税を減らすこともできるということになります。

 

相続税については様々な面から節税の対策を行うことができるため、配偶者のみで子供がいない家庭の場合、相続人の数などによっては基礎控除の額も変わってくるため、慎重に考える必要があります。

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相続財産の整理ってどうすればいいの?

・遺産整理とは?

遺産整理とは、亡くなられた方が生前に所有していた財産を、相続または管理処分することのことを言います。

 

これは国の法律で定められている「相続」から来ております。所有している財産には、その本人が所有しているという「権利」が保存されているため、所有者が亡くなってしまった場合にはその権利について、誰かが受け継ぐあるいは処分等の管理を行う必要があります。

 

民法では、この「相続」について、亡くなられた方との血縁関係者を「法定相続人」として、遺産の相続を行うよう定められております。

 

しかし、具体的に誰がどのように取得するかについては、亡くなられた方の「遺言」や相続人の意思を優先するため、遺産整理を制限することや強制することはありません。

 

・遺産整理を行うにあたって

人が亡くなると「相続」が発生することになりますが、遺産整理については「一定の答え」があるわけではなく、亡くなられた方の所有する財産によってそれぞれの手続や管轄が分かれているため、実際の手続については環境に応じて解決してゆくことになります。

 

まずは、亡くなられた方の財産を特定し「どこに」「何が」「どれだけ」あるかを知ることが重要になります。そして、それぞれを管轄する機関に「相続手続」を行う必要があります。

 

・遺産の種類と手続方法について

財産の範囲は不動産から動産まで並べると計り知れませんが、ここでは「明らかに名義が保存されている財産」に関しての手続の必要性についてご紹介させていただきます。

 

『不動産』

亡くなられた方が生前に生活をしていた住居について、不動産の名義が保存されている場合には「名義変更」の手続が必要になります。不動産の所有については「法務局」による「所有権の登記」を持って本人の所有物であることが証明されます。

 

所有権は所有者がなくなった時点で権利が失効してしまうため、相続を行う旨の名義変更手続が必要になります。管轄する法務局へ手続きを行う必要がありますが、必要書類や提出書類が多いことや、回収に時間がかかってしまう上再提出を迫られる場合もあり、思うように手続きが進まないことから多くの場合「司法書士」へ依頼をする方が多いのが実際です。

 

また不動産の後継者がいない場合には、不動産の売却として建物ごと売却または建物を解体し土地として売却する場合もあります。

 

これは不動産業者との協議が必要になりますが、既存住宅となると思うように買い手が見つからないこともあり、建物の建っていない更地の方が不動産業者にとっては、親しみやすい不動産ということも知っておくと良いでしょう。

 

『金融機関』

亡くなられた方の名義で開設された「銀行口座」の預貯金や「証券会社」などの有価証券・国債など、これらはそれぞれ解約の手続きが必要となります。銀行口座

については死亡と同時に凍結され、相続手続きによる解約手続きを行うことで、口座内の預貯金を全額出金または相続人の口座へと移します。

 

証券などの「時価」が変動する財産については、相続発生日の金額で解約することは難しく、書類の提出・精査が終わり、手続きが確定した段階の「時価」によって換価されます。

 

そのため、「解約」と「名義変更」の2パターンの手続きが可能です。

 

所有していた時期は「高価値」であったが、相続時には価格が暴落し「低価値」となってしまった場合などには、相続人の名前で新規口座開設を行い財産を承継することで、そのまま保有することができます。

 

価格の高騰するタイミングを待つことも解約のタイミングを決めることもできるため、その時の価値によって判断をするケースが多いです。

 

『生命保険金』

亡くなられた方が生前に加入していた生命保険の保険金については「相続財産」としての熱い会ではなく、あらかじめ指定された「受取人」の財産となります。相続人の間で行う「遺産分割」の対象からは外れますが「相続税」は別の話ですので、保険金が多額の場合については注意が必要です。被保険者の名義で加入していた「保険会社」に対して、死亡の届出を行う必要があります。

 

・遺産整理で気をつけるべきこと

不動産相続について、万が一売却を行う場合には「相続の登記が済んでいること」が条件である不動産業者が多いため、相続人同士での話し合いができているかどうかを問われます。

 

よくある事例としては「物は管理できないため、お金にして分配ほしい」というケースです。

 

建てたばかりの新築物件ならまだしも、築年数が経っている建物の場合は買い手にとっては「不要物」となってしまうため、最終的に売却に至らないというケースがあります。

 

この場合は「建物の解体」を行うことで「土地」として売却できるため、買い手にすればそこに新築を建てられる環境になるわけです。しかしここで問題なのが、まだ換価処分できていない不動産に対して「解体費用」を現金で支払う必要があることです。

 

土地ならXXX万円で売れるとしても、そのために建物を解体する費用・家財の処分費用など、先行して支払わなければならない場合「誰がその費用を持つのか」ということでトラブルになってしまうことが多いのです。

 

不動産の売却査定価格に対して、先行出費を考慮した上で最終金額を現金で分配相続するとなると、手続きを行う者と行わないものとの間に不平が発生したり、様々な争いへと発展してしまうのです。

 

こうしたトラブルなく、無事に金銭的な話し合いが完了している上で相続による名義変更の手続きを行なっている不動産を不動産業者が取り扱ってくれるということです。財産の話になると、人間関係が大きく動く場合もあるということを肝に命じておかなければなりません。

 

遺産整理の各種手続き全般において、基本的には相続人同士での話し合いが完結していることが前提になりますので、一人でも納得のいかない相続人がいたり争いが絶えない場合は手続きが進まないことになります。

 

また、相続人が県外に住所変更をしている場合など、書類に関しては郵便でのやり取りを余儀なくされる場合など、効率よく手続きを進める必要があります。

 

それぞれの管轄する機関によって各種証明情報書類の期限が定められているため、時間がかかりすぎると公文書の効力が失効してしまい、再請求をしなければならない場合もあります。

 

相続関係を証明する証明情報については、出生から死亡まで及び相続人全員の情報が必要のため、不備なく揃えることは容易ではありません。

 

県外や遠方に親族・相続人がいる場合には、こうした書類の請求や署名・押印に時間がかかることや、訂正の度に相続人全員の同意が必要となり、どうしても時差が発生することと相続人の感情に抵触してしまうことを忘れてはいけません。

 

また、遺産整理の際に「遺言書」や「信託財産」などがないかどうかをあらかじめ確認することも重要です。

 

遺言があった場合には、その遺言が優先されることになり、遺言者の意思を尊重する必要があります。

 

遺言書の有無については自筆で書いている「自筆証書遺言」か「公証書遺言」のどちらかが一般的であり、家から見つかる場合や遺言証人が情報を知っている場合もあります。

 

信託会社を通じて財産を管理している場合には、相続発生に伴い信託財産の管理が始まるため相続人だけでは対応ができなくなってしまうケースがありますので、これらの確認は非常に重要になります。

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遺言書の活用~メリット・デメリット~

遺言書(いごんしょ)とは、通常「ゆいごんしょ」と呼ばれておりますが、生前に自分の相続に関する遺産分割において、遺言者の願いとして記されることが多く、その内容は様々です。

 

あらかじめ相続人を指定したり、事情によって相続手続きにトラブルが予測される場合などに効果を発揮する文書になります。

 

遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の二つがあります。これら二つの「遺言書」について、それぞれの活用方法とメリット・デメリットについてお話をさせていただきます。

 

遺言書の活用方法とは

 

遺言の使い方としては、遺言者の相続が発生した時に「最後の意思」として尊重されるべき内容になるため、遺産分割において大きな役割を発揮します。

 

人が亡くなった場合は、法律に従い「相続の手続き」を行う必要があります。

 

通常は亡くなった方と血縁関係にある「法定相続人」間で遺産分割を行う必要があり「相続権」を持つ対象者が限定されますが、遺言書はこれに優先して遺産を分割することができるという効力を持っております。

 

相続関係において家系の事情や配偶者兄弟姉妹が存在しない場合の相続関係など、思うように相続手続きが進まない場合に活用されるケースが多数です。

 

相続手続きが思うように進まないケース

 

・配偶者が不存在で、親子兄弟で非常に仲が悪い

普段は会うことも会話をすることもないが、相続の手続きを迎えた際には「財産」の取り分において「遺産分割協議」に納得がいかず、明らかに署名捺印が難しいと判断される場合トラブルへと発展することが多いです。

 

・被相続人に前妻夫などが存在するケース

法定相続人は原則として「血縁関係」にある者を「相続人」と定めているため、現状の家族内での相続ばかりではなく前妻夫の間に子供がいた場合には、その子供にも相続権が発生します。そこに登場するのは「子供の意見」ではなくなってきてしまい、親権者の判断や意見要望が出てくる可能性もあります。

 

・相続人が音信不通または行方不明

相続人が海外へ移住しており連絡が取れない、または消息が不明で生存確認が取れない場合など、相続の手続きにおいては「相続人」としての意思表示が必要になるため、まず先に「意思疎通」または「生存確認」などの事前の準備が必要になります。

 

自筆証書遺言と公正証書遺言の違い

 

自筆証書遺言とは・・・

「自筆」にて遺言書を作成することであり、規定の様式に従って作成することで「遺言書」と同じだけの効力を持つ「私文書」になります。ここで重要なのは「規定の様式」を満たしていることが条件であり、一つでも欠落がある場合は「遺言書」として機能しない可能性があります。

 

公正証書遺言とは・・・

公証役場と呼ばれる「公的な環境」において、「公証人」「遺言者」「証人2人」の合計4人で作成する遺言書になります。規定の様式を満たした自筆証書遺言と公正証書遺言は同じ効力になります。

それぞれのメリットデメリットについて

 

自筆証書遺言について

 

メリット

・自筆のため費用がかからない。

・書き直しや、訂正も容易に行うことができる。

・自分の思いを忠実に自分の言葉で残すことができ、最後の直筆として残すことができる。

 

デメリット

・原本が1通しか残らないため、存在を知るものしか把握または発見することができないため、発見のタイミングに時差が生じる。

・保管場所によっては発見されないケース、または紛失や災害などによって消失してしまうリスクがある。

・誰かが内容を書き換えた場合にも偽造の判断が難しく、発見者による悪用の可能性もある。

・遺言書の発見後、遺言者の最後の住所の管轄の裁判所に対して「検認」の申し立てを行う必要があり、相続人全員に遺言の存在と内容が発覚します。

・万が一相続人が遺言の偽造や変造を訴えた場合などに、筆跡鑑定の必要性が出てしまう可能性があり、その際には筆跡鑑定に伴う多額の作業費用を実費負担することとなる。

 

公正証書遺言について

 

メリット

・公証人によって正式な遺言を作成をしてもらえるため、自筆証書よりも安心して作成できる。

・遺言者のほか「証人2人」が同席するため、遺言者以外にも遺言の存在を知り、発見されない可能性が減る。

・公正証書遺言は「正本」「副本」の2通が発行され、1通は公証役場にて10年間保管されるため、万が一の紛失や災害による原本の消失の場合にも公証役場に記録が残る。

・一度公正証書遺言を作成したら、全国の公証役場にて遺言書の確認が行える。

 

デメリット

・作成するのに費用が発生する。(公証人報酬・相続関係証明書類等)

・一度作成すると、内容を書き換えるたびに手続きを行う必要があるため費用と手間がかかる。

・判断能力がある方を対象としているため、公正証書遺言作成当日に公証人の判断によって「遺言者に判断能力が無い」と判断された場合には、遺言書の作成ができない場合もある。(たとえそれが本人の意思であったとしても、それを証明することが難しい)

 

遺言書の活用方法の実際

 

相続手続きの円滑化

 

遺言書を作成するという場面において、多くの方が抱かれている狙いは「トラブル防止」や「明らかに紛争になることが目に見えている場合の財産分与」が多いのです。

 

では、どうしてこのようなケースにおいて遺言書が有効に活用できるのでしょうか?

 

それは、遺言書が民法第985条「遺言の効力の発生時期」によって、法的に効果を発生させるからです。

 

本来は、被相続人の相続関係にある法定相続人間において遺産の分割を協議する必要があり、協議内容を記す遺産分割協議書に署名捺印(実印)及び印鑑証明書がなければ相続手続きが前に進まないことになります。

 

しかし、遺言者が死後も財産を自由に処分することができることを目的に制度を認めていることで、法的に保護されている権利となります。そのため、遺言者の意思を優先して財産を分割することができるのです。

 

遺言執行者の選任

 

遺言書の作成をする際に「遺言執行者」を選任することができます。

 

これは、自分の作成した遺言(自分の思い)の通りに遺産を相続させるために、その遺言どおりの内容に執行を任せる自分物を選任することができます。

 

遺言執行者に選任された方は「遺言を執行する義務」が発生しますので、遺言者の意思を尊重し遺言書通りに相続手続きを執行することが問われます。

 

相続手続きの実際としては、戸籍や各種証明書を請求することは日常にない作業であり、思うように進まなという声もよく耳にします。

 

この場合、税理士事務所や司法書士事務所などにあらかじめ相談をしておき、専門家を執行者に選任することも可能であり、執行者はこれらの請求を業務として職務上請求できるため、手続きを代理してもらうことで短期間に手続きを完了させることもできます。

 

配偶者への配慮

 

相続の事例として、遺言者に配偶者がいて子供がいない場合にも遺言書は有効になります。

 

配偶者は常に相続人となりうる存在ですが、夫婦間に子供がいない場合は相続関係が複雑になってきます。例えば夫が先に亡くなってしまった場合、残された奥さんは相続人ですが、亡くなった夫の兄弟姉妹にも相続権が発生してしまい、奥さんと夫の兄弟姉妹間において遺産の分割協議を行う必要があります。

 

この場合、夫の財産をすべて奥さんに相続させる旨の遺言を作成することによって、兄弟姉妹を相続関係人から「除外」してしまうことができるのです。

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隠れたリスクがいっぱい。相続した不動産を空き家にしておく危険性

最近はテレビやネットなどで耳にする事が多い「空き家問題」。

 

増え続ける住宅とは裏腹に日本の人口は減少傾向を辿る一方となり、不動産業者の間ではもう何年も前から住宅の供給過多が叫ばれています。

 

空き家になってしまっている不動産の中でも特に多いのが相続によって取得した住宅なのはご存知の方も多いと思います。
独立して実家を出れば皆賃貸住宅に住んだり、結婚してマイホームを購入したり、とそれぞれに住居を確保します。
ご両親が高齢化し、いずれ実家に住む人が居なくなれば実家は当然空き家となります。
現在の住まいと実家が近所であれば引っ越して実家を継ぐ事も可能ですが地方から上京している方は仕事や学校の関係上なかなかそうもいきません。

 

ご家族が反対する場合もあるでしょう。

 

住居としては使わない、賃貸として貸すにはガタが来ている、かと言ってキレイにリフォームするには多額の費用がかかる、そんな状況から結局処分する事も無く空き家として何年も放置されてしまう不動産が非常に多いのです。
もう何年も人の出入りが無く、扉も壊れ、ゴミが散乱している……そんな空き家を見かける事も珍しくないでしょう。

 

ですがこう言った空き家、そのまま放置しておくのは大変危険なんです。
空き家と言うのは実は様々な事件の温床とも言われています。

 

では空き家には一体、どんな危険性があるのか見ていきましょう。

 

 

●不審者(動物)の侵入

 

 

ホームレスなどは長時間居てもお金がかからず、誰にも怒られない場所を求めています。
そんな彼らにとって人の出入りが無い空き家は格好場所になりえます。

 

・お金がかからない
・人が来ないから誰にも怒られない
・寒さをしのげる
以上の点からこの上ない好条件となってしまう訳です。

 

また動物が住み着いてしまう等もよくある事例ですね。

 

 

●火事が起きやすい

 

現在、空き家として放置されている建物の多くは木造です。

 

また空き家になっているとゴミの不法投棄がされ易く敷地内にどこからか運び込まれた粗大ゴミが散乱している事も多々あります。

 

そう言った場所はちょっとの火気でたちまち燃えてしまい、火事になり易いのです。
通りがかりの人が火の付いたタバコをポイ捨てしただけで一気に燃え上がるでしょう。
冬場の空気が乾燥している時期なら尚更です。
枯葉や粗大ゴミ、古くなった建物が燃えればそれこそ大火事になりますが周りに延焼した場合、その建物の所有者に責任があるので要注意です。

 

そこに住んでいない、火元は自分の責任じゃない、と言っても関係なく火事の責任は全て所有者となってしまいます。

 

これは空き家を放置しておく危険性として代表的なものですので空き家を所有している方は、売却する、または建物を解体する等ぜひ対策を取ってください。

 

 

●住んでいなくても税金はかかる

 

 

当然の事ですが、不動産を所有していれば固定資産税がかかります。

 

これは住んでいる、いない関係なく所有していれば誰しも納税義務があるのです。

 

でも考えてみてください。

 

今や誰も住んでいなくただ古くなった建物とゴミが散乱しているだけの場所にお金を払う事に何か意味を見出せますか。
不動産にはお金を生むもの、お金がかかるものがありますが空き家は間違いなく後者です。

 

今は使用していなくてもいずれは住む予定がある、将来的に譲りたい人がいる、など先々の予定があるならば税金を払いながら所有するのもアリですが何の役にも立たないのであれば税金を払うだけムダになってしまいます。

 

それならばいっその事売却してしまうのも1つの手です。
ただアテも無く税金を払い続けるのは避けたほうが良いでしょう。

 

 

●迷惑な「特定空き家」は固定資産税が高額になる。

 

 

治安や放火リスク、外観上の問題から空き家は当人のみの問題ではありません。

 

地区や自治体にとってもやっかいな問題なのです。

 

そこで平成27年2月に告示された空き家等対策の推進に関する特別措置法(空家対策特措法)によって、自治体が迷惑な空き家を特定空き家と指定し、一定期間内に建物を保全しなければ更地と同様に固定資産税額が高くなるペナルティが課せられるようになりました。

 

この法律では空き家とは1年間使用されていないことと定義されています。

 

どのレベルから迷惑な空き家=特定空き家と認定されるかは自治体の判断なので、今後の運用を見るしかありません。

 

 

●古い建物は倒壊する

 

 

積もった雪の重みで建物が倒壊、なんて言うニュース、冬になるとよくありますよね。
雪国では毎年起こっている事故です。

 

また雪が降らない地方でも台風の影響で屋根が飛ばされてしまったり強風で窓ガラスが割れてしまうなど聞いた事があります。

 

空き家となっている建物は大方手入れされていないものが殆どです。
外れた窓枠がそのままになっていたり、外灯が取れかけてぶらさがっていたり……こう言った建物は大変危険です。

 

強風で飛ばされた瓦がご近所の窓ガラスを割ってしまったらどうでしょう。
物損で済めばまだマシな方でそれによってケガをしたり小さなお子様なら命に関わる危険性だってあるのです。

 

空き家になっている所で所有者が定期的に建物を見に行っているケースはほんの一握りでしょう。
大概の場合は何年も放置です。
ですが、空き家を放置していると言うのは常にこう言った危険を伴っていると自覚する事が大切です。
これはごく一部の方に起こる事ではなく空き家を所有している方なら誰でも起こり得る事故なのです。
最近では何年も放置されている空き家のうち、危険性の高い建物に関しては行政の判断で取り壊しができると言う法律が出来ています。
命には代えられない、と言ったところでしょうか。

 

神奈川県内でも既に何件かの取り壊しが実施されています。

 

人様の所有物を行政の判断で取り壊すとは中々画期的な動きかと思いますが空き家を放置すると言うのはそれ程の危険性を伴う、と言うのが認知されて来ているようです。
不動産を相続すると言う事はご自身の意思とは違う所で不動産を所有する事でありそれ相応の負担や手間がかかります。慣れない書類や手続きに頭が痛くなるでしょう。

 

売却するには手間がかかる、手入れをするにはお金がかかる、となれば結局手付かずのまま何年も放置してしまう心情はお察しします。
相続人が複数いる場合はそれぞれの意向が合わず解決の糸口を見失いそうになる事もあります。

 

しかし空き家を放置する事はここに挙げたようにデメリットや危険性はたくさんありますがメリットと言えるものは何一つありません。
火事になってしまったりけが人が出てしまった後に早く処分しておけば、と後悔しても遅いのです。

 

一時的に手間になってしまっても処分するのか、手入れをして保有するのか、はたまた解体して更地にするのか、プロのアドバイスを聞きながら早い段階で適切な判断をする事をお勧めします。

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【遺産の放棄はできる?】相続放棄についてまとめました。

相続が発生すると被相続人が生前所有していた財産が相続人等に承継されることになりますが、必ず故人の遺産を引き継がなければならないわけではありません。

 

相続財産にはプラスの財産だけでなく借金などマイナスの財産も含まれますから、借金過多の場合そのまま相続してしまうと遺族らが借金に追われる可能性もあるからです。

 

被相続人に借金の方が多いことが分かっている場合には相続しないことを選択することができ、これを「相続放棄」といいます。

 

相続放棄をすると民法上は最初から相続人でなかった扱いとなり、プラスの財産もマイナスの財産も引き継がないことで被相続人の財産とは無関係の立場に立つことになります。

 

この相続放棄は全ての権利を放棄するというイメージで一見分かりやすいように見えますが実際はいくつか注意が必要なこともあります。

 

今回は相続放棄に焦点を当てて、利用法や注意点などについても見ていきたいと思います。

 

 

■相続放棄の通常の利用法

 

冒頭でも簡単に述べましたが、相続放棄が検討されるのは通常、被相続人に借金の方が多く、相続してしまうと収支が赤字の遺産を承継してしまい借金に追われるなどという場合です。

 

一般の方で借金まみれというのはそれほど多くはないと思いますが、例えば個人事業をされている方などは事業資金の確保のために借り入れをしてることが多く、資金繰りの悪化から負債が雪だるま式に増えてしまう事例もあります。

 

このような時にプラスの遺産よりも借金の方が多ければ相続放棄を行うことで負債の承継をしないで済みます。

 

 

■注意が必要な相続放棄の利用法

 

通常の利用法以外でも相続放棄が検討されることがあります。

 

本来であれば自分も相続人として遺産を受け取ることができても、例えば同じく相続人となる被相続人の配偶者たる自分の母親に取り分を譲りたいとか、事業承継のために長男に遺産を集中させたいという場合に相続放棄をして遺産の取り分を他者に集中させるということもできます。

 

ただしこのような利用法の場合、他に相続人と成り得る地位を持つ者がいた場合にはその者に相続権が移ってしまうので思わぬ誤算となる危険もあります(後述します)。

 

 

■相続放棄は手続きが必要

 

相続において相続放棄をしたいのであれば、期限までに手続きを取る必要があります。

 

この手続きをしないと単純承認といって、自動的に相続を承認したとみなされて借金も相続してしまうことになります。

 

相続放棄をするのであれば、相続があったことを知った日(通常は被相続人の死亡)から3か月以内に家庭裁判所で手続きを取る必要があります。

 

この手続きは限定承認と違って、複数の相続人がいても単独で行うことができます。

 

手続き先は被相続人が生前住んでいた住所地(住民票上の住所地)を管轄する家庭裁判所になります。

 

故人と一緒に住んでいたのであればいいのですが、離れて暮らしていた場合は手続き先を間違わないようにしましょう。

 

 

■相続放棄の手続きに必要な物は?

 

相続放棄の手続きの際に必要になる添付書類などについては、その相続放棄を望む者と被相続人の関係によって多少変わってきますので個別の事案に応じて管轄の裁判所に問い合わせるのが安心です。

 

一例を挙げますと、相続放棄をしたい人が被相続人の配偶者の場合は、被相続人の住民票の除票又は戸籍附票、被相続人の死亡時の戸籍謄本、相続放棄をする人の現在の戸籍謄本(3か月以内に発行されたもの)となり、相続放棄をしたい人が被相続人の父母など(相続の優先順位が第二順位)の相続人の場合は被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本、放棄する人の現在の戸籍謄本(3か月以内に発行されたもの)、被相続人の直系卑属(子や孫など)が死亡しているときはその出生から死亡までの全ての戸籍謄本が必要になります。

 

この他にも相続放棄の申述書や収入印紙代、郵送物用の切手代などが必要になります。

 

収入印紙代は相続放棄者1人につき800円となりますが、郵便切手代は事案により多少異なります。

 

概ね1000円前後あれば済むものと思われます。

 

 

■相続放棄と代襲相続の関係

 

相続人に関してたまに聞かれるのが、相続放棄をすると代襲相続はどうなるのか、という質問です。

 

代襲相続というのは、本来相続人となるはずであった者が相続発生時にすでに死亡していた場合や欠格や廃除などで相続権を喪失していた場合に、その子など直系卑属が相続権を引き継ぐ(代襲する)ものです。

 

例えば被相続人の子がすでに死亡していた場合はさらにその子が代襲相続することになるのですが、代襲相続は上記の通り死亡あるいは相続権の消失(欠格や廃除)によって起こるもので、相続放棄とは関係ありません。

 

従って被相続人の子が相続放棄をしても代襲相続が起きるということはなく、次順位者がいればそちらに相続権が移ることになります。

 

 

■相続放棄と相続権の優先順位

 

複数相続人がいる相続事案で特定の者が相続放棄を行うと、相続財産の行方はどうなるのか気になるかと思います。

 

民法で法定されている相続権の優先順位はまず配偶者がいれば必ず相続人となり、後は以下の優先順位で配偶者と共に相続人となります。

 

第一順位:子

第二順位:直系尊属

第三順位:被相続人の兄弟姉妹

 

例えば配偶者と子が一人いるケースで、子が母の生活費のためにと考えて相続放棄をしたとして、まだ被相続人の親も生存している場合には上述したように子の相続権は第二順位の直系尊属たる親に移ってしまい、被相続人の配偶者たる母親に遺産を集中させたいという願いを叶えることができなくなる危険があります。

 

このような場合は相続放棄ではなく遺産分割協議書で調整を行うようにしましょう。

 

配偶者がおらず複数人の子が残された場合は各子は均等分の相続権を持ちますが、例えば長男と次男が残され、事業を継ぐ長男に遺産を集中させるために二男が相続放棄をすると二男の相続分を長男に集中させることができます。

 

この場合に二男の放棄した分は同じ優先順位である長男に移ることになり、下位順位者である直系尊属には移りません。

 

 

■相続放棄と保証人の地位

 

注意が必要なのが被相続人が連帯保証人になっていた場合です。

 

この場合基本的には被相続人の連帯保証人としての地位を相続によって承継し、相続人が連帯保証人の地位を引き継ぐことになります。

 

友人知人の借金の連帯保証人になっている場合や、アパートを借りる際の連帯保証人になっている場合はその保証人たる地位を引き継ぐことになります。

 

その保証債務の負担を引き継ぎたくないのであれば相続放棄をする必要があるということです。

 

ただし保証債務の種類によっては相続の対象にならないものもあります。

 

例えば身元保証で、会社に勤める際などに会社に損害を与えた場合に備えて身元保証を求められることがあります。

 

こういった身元保証は原則として相続の対象にはなりません。

 

しかしその場合でも、すでに損害が発生しており賠償義務がすでに発生しているような場合には、負債がすでに発生しているわけですので相続の対象に入ってきます。

 

 

■まとめ

 

今回は相続放棄について見てきましたが、まず被相続人に借金の方が多いことがはっきりしている場合は必ず取るべき手段であることははっきりしています。

 

注意が必要なのは特定の者に遺産を集中させるために相続放棄を考える場合と、被相続人が保証人になっていた場合です。

 

実際の相続では間違いがあると問題が大きくなるので、相続放棄を考える場合でも一度税理士に相談しておくのが安心です。

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子供が結婚、家の面倒見てやるか・・親から子への住宅取得等資金贈与のポイント5つ

遅かれ早かれ、遺産は子供のものになる?

 

ついこの間小学校に入ったと思った息子も、いつの間にか立派に成長し、先日結婚式を挙げた。奥さんと2人、幸せに暮らしており、来年には新しい家族も誕生するという・・・もはや何も言うことはない。

 

いや、あとは家か。聞けば、息子夫婦が暮らす賃貸マンションは、1LDKで10万円近くするという。子供ができて3人になったら手狭だろうし、少し郊外に広い家を買ったほうがいいのではないか。息子にそう言うと、

息子 「いや、正直マイホームは欲しいよ。でも結婚式も挙げたばかりで貯金も減ったし、頭金としてそこまで多くの金額は用意できないし・・金利負担ばかり多くなってしまうような気がして・・・」

 

父 「バカ、なぜ相談しないんだ!ワシや母さんが死んだら、いずれ遺産はお前のものになるんだ。遅かれ早かれ、だろう。頭金になるくらいの金額ならワシが出してやる!」

 

息子 「ええっ、本当かい親父!嫁さんも喜ぶよ・・・」

 

ポイント① 親から子への援助には、贈与税が課税される

 

どこにでもありそうな、親子の会話ですね。子供の幸せのために、何かしてやりたいという親の想い、「遺産は遅かれ早かれ、子供のもの」という若干ドライですが一理ある考え。いずれも理解はできます。

 

ただし、「税務的」にはこの考え方は認められるのでしょうか?

 

結論から言うと・・・認められません。いや、正しくは、「どうぞご自由に。ただしその贈与に対して、税金は掛けますけどね」というのがこの国の制度です。

 

さらに正確には、1年当たり110万円以内の贈与に対しては、贈与税は課税されませんので、仮に500万円を住宅取得資金として親から子に渡した場合には、(500万円-110万円)×20%-25万円(控除額)という算式により、53万円もの贈与税が課税されてしまいます。つまり、500万円受け取っても、53万円納税しなければならないので、差し引き447万円しか受けとることができないのです。

 

 

ポイント② 贈与税を課税されずに親から子へ住宅取得資金を援助するには、一定の要件を満たす必要がある

 

447万円も受け取れれば充分マイホームの頭金にはなるものの、53万円も納税しなければならないのでは、あまりにも損です。

 

何とか贈与税を課税されずに、親から子へ援助する方法は無いものでしょうか?実は・・・あるんです!一定の要件のもと、以下の方法が考えられます。

 

方法1.複数年に渡り非課税の範囲内で贈与を行う(暦年贈与)

方法2.住宅取得等資金の非課税制度を利用する場合

方法3.相続時精算課税制度を利用する場合

以下、それぞれの方法について解説していきます。

 

ポイント③ 暦年贈与を利用する場合の注意点

 

先述の通り、「1年あたり110万円までの贈与」に対しては、贈与税は課税されません。この1年当たり110万円の非課税枠を利用して、3年、5年、7年などに渡り、100万円前後の金額を渡していけば、贈与税を課税されることなく、親から子へ財産を移転することができます。

 

ただし、数年単位の時間を要するため、思い立ってすぐに頭金相当の金額を渡すことはできません。また最大の注意点として、「当初から多額の贈与を行うつもりであった」と捉えられないために、たとえ親子間であっても、贈与契約の結び方などに注意する必要があります。

 

つまり、「毎年100万円を5年間贈与する」といった契約内容では、「はじめから500万円渡すつもりだったんでしょう」と捉えられるため、万が一税務調査にて指摘された場合には、追徴課税のリスクが非常に高いと言えます。

 

多少面倒であっても、「100万円を贈与する」という契約を、ある年には6月に、ある年には12月に結ぶなど、あくまで毎年贈与をするか否かは、その年ごとの状況次第であった、という説明ができるようにしておくのが良いでしょう。実際、そういうつもりだったのですから・・・。

 

 

ポイント④ 住宅取得等資金の非課税制度 制度の概要と留意点

 

上記の「1年あたり110万円までの贈与は非課税」という暦年贈与の枠とは別に、一定の要件を満たした場合には、その住宅の種類や贈与をした年に応じて、追加の非課税枠が適用されます。

【適用要件】

 

1.直系尊属(父母、祖父母等)からの贈与であること

義理のお義父さん、お義母さんからの贈与ではダメです。

 

2.贈与を受けた年の11日において、20歳以上であること

小さい子供のうちから贈与だけ行い、相続対策・・なんていうのはダメです。

 

3.贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。

そもそも、贈与受けなくても家買えるくらいの収入があるでしょう、ということですね。

 

4.過去の贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと。

この制度を何回も使うことはできません。

 

5.親族から購入する住宅ではないこと。また、親族との契約により新築等するものでないこと。

当たり前ですよね。あと、親が不動産業をやっていて、契約して建てるとかもダメです。

 

6.贈与を受けた年の翌年315日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。

契約だけではダメで、贈与を受けた年の翌年3月15日までに「物件の引渡し」を受ける必要があります。

 

7.贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること

これはあまり問題になることはありませんが、贈与者である親等が、贈与時に日本国内に住所があるならOKです。

 

8.贈与を受けた年の翌年315日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。

遅くとも、贈与を受けた年の翌年12月31日までに住み始める必要があります。

 

9.取得する建物の登記簿面積が50㎡以上240㎡以下であること

狭すぎても広すぎてもダメ、いわゆるフツーの家なら大体OKです。1LDKとかだと小さすぎる場合も。

 

10.中古住宅の場合は、築年数が木造の場合には20年以内、マンション等耐火建築物の場合には25年以内であること

築40年とかのシブイ家はダメなのです。ただし、新耐震基準に適合していることが証明された家であればOKです。

 

11.贈与を受けた年の翌年21日から315日までの間に、贈与税の申告を行っていること

贈与税が発生しなくても、「贈与税の確定申告」は申告期限内に行う必要があります。

 

この要件を全て満たしている場合には、「いつ贈与を行ったか」「その住宅に10%の消費税率が適用されるか否か」に応じて、下記金額までの贈与は、贈与税が非課税となります。

 

 

このように期間が後になるほど非課税枠が少なくなるのは、「今だけ」感を出すために他なりません。

購買意欲を促進し、経済の活性化の意味も含んでいると言えます。また、消費税率10%が適用された場合には非課税枠が増額されるのも、同様の理由でしょう。贈与税には多少は目をつぶるから、消費税増税後もみんな住宅を買おうね、という国からのメッセージですね。

なお、住宅取得等資金の非課税制度は、通常の年110万の非課税枠と併用が可能です。1,000万円+110万円=1,110万円などの非課税枠を適用することができる、ということですね。

 

 

ポイント⑤ 利用には特に注意を!相続時精算課税制度の特例 

 

「年110万円ずつの暦年贈与?しゃらくさい!」「住宅取得等資金の非課税制度?要件が満たせん!」そんな親子の最後の手段として、「相続時精算課税制度の特例」を利用して、住宅取得等資金の贈与を行う方法があります。

相続時精算課税制度とは、親からの贈与につき、一定の要件を満たした場合には、2,500万円までは贈与税が課税されない制度です。ただし、この制度を適用し非課税とされた贈与財産については、親が亡くなり、相続発生時に、相続財産として扱われます。

 

具体的には、現在5,000万円の資産を持つ親が、この制度を利用し2,500万円、子に贈与したとします。

 

すると親の財産は5,000万円―2,500万円=2,500万円になりますね。途中に増えた、減ったがありつつも、最終的にこの2,500万円の財産を持った状態で親が死亡、相続が発生したとしましょう。

 

そのときの相続財産は、実際に親が死亡時に持っていた2,500万円+相続時精算課税制度により贈与した2,500万円=5,000万円として取り扱われるのです。つまり、「贈与税は掛けないけれど、相続税はかけますよ」という制度ですね。

 

そのため、単純な非課税ではない、ということを理解しておく必要があります。

 

これをどう捉えるかは、人により様々です。

 

「どちらにせよ相続税はかかるんだし、早めに子に財産を渡して、幸せな様子が見られるのは良いこと」と考えるか、「最終的に相続税がかかるなら、意味ないんじゃないの・・・?」と考えるか、これはどちらも正解だと思います。

 

ただし、判断をする上で知っておいて頂きたいポイントが、その他にも幾つかあります。

 

まず、「相続時精算課税を一度適用すると、その贈与を受けた親からの贈与については一生、暦年贈与の年110万の非課税枠は適用することができない」ということです。

 

選択は慎重に判断する必要があります。

 

さらには、「相続時精算課税制度は、住宅取得等資金の非課税制度と併用可能」です。

 

そのため、まずは住宅取得等資金の非課税制度の適用ができないかを検討しましょう。

 

なぜなら、この制度は相続時精算課税制度とは違い、純粋な非課税の制度であるためです。

 

同制度が適用できない場合や、同制度の非課税枠では住宅取得等資金に足りない場合に、初めて相続時精算課税制度の適用を検討する、というのが無難で、賢いやり方です。

 

いかがでしたでしょうか?「親から子への住宅取得資金の援助」の方法としては、今回紹介したものが主な方法ではありますが、あくまで援助、つまりは「贈与」という形をとった場合の話です。

 

その他の手段としては、親から子に「お金を貸す」という方法もあります。

 

ただしその場合には、親子間であっても、キッチリと契約書を作成し、決められた期日に従い、なあなあにせず、粛々と返済を行っていく必要があります。

 

贈与にしても、貸借にしても、税務の世界は一般の感覚で行うと、認められない、ということが多々あります。

 

必ず税理士等の専門家にご相談の上、適切な方法で子供に援助できるようにしておきましょう。

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