遺産分割の共有名義、共同経営は要注意
合意しやすいからと安易に決めると後で大変
父と同居する長男、次男がいる家族のケースです。
次男は高齢の父に代わって賃貸アパートを管理していました。父の資産は自宅2000万と、アパート1棟5000万です。
ある日父が亡くなり相続が発生しました。
父は日ごろ同居して献身的に尽くしてくれていた次男に全て相続させようと遺言を残していたのです。
長男は遺言内容に納得はいかなかったようですが、アパートの所有権を半分渡すことを条件に、遺産分割協議に同意すると回答してきました。
最終的には次男が折れて長男の要求通りに不動産の所有権移転登記などの相続手続きが無事に進みましたが、次々にくる住人からのクレームやアパートの内外装修繕や水回りや空調設備等の交換など、アパートの管理には想像以上に時間も労力もお金もかかり、ストレスがたまることがわかり、ほぼ次男に任せっきりになってしまったそうです。
そのくせ賃料収入だけは受け取っていて、賃料収入や補修費用などの支出など、事業内容にまで細かく口を出すようになっており、次男は分割内容に大いに後悔する結果となってしまいました。
共有だと意思決定が難しい
次男は年齢のことも考え、家賃管理や空室管理を一括して請け負う管理会社に外注してもよいと考えていますが、ムダな支出を嫌う長男はなかなか受け入れようとはしません。
こんなことになるなら、共同経営などという長男の甘い誘いには乗らず、売却して遺産分割をしたほうがよかったかもしれないと思うようになってきています。
それでも、定年後の生き甲斐に父親が始めたアパートには思い入れがありますし、 次男にとっても住民との付き合いや管理で苦労してきたことを考えると、手放したくない気持ちが強いのも確かです。
また売却するにしろ自分の意志だけでは売却は不可能です。
近い将来に長男と本格的にぶつかるのではないかと不安に思う毎日を送っているようです。
賃貸アパートの経営だけでなく会社の事業承継などでも、相続人が共同経営を選択した場合、最初の思惑の違いから途中でトラブルになることがあります。
遺産分割協議の際に合意しやすいからといって、共同経営の条件を安易にのむと後で大変な思いをすることがありますし、次の代の事業承継や遺産相続でより一層面倒なことになる可能性もありますので、相手の経営能力もよく考えてから合意することをお勧めします。
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