ドクターのための税金対策 ~開業医の税金対策 (所得税・法人税編)~ | 大阪で相続の相談なら相続カフェ

ドクターのための税金対策 ~開業医の税金対策 (所得税・法人税編)~

大阪の相続無料相談所『相続カフェ』による、特別コラム。ドクターからの相続相談をお受けする中で、『生前にもっと節税出来る方法はないのか』とのお声を頂くことが多かったので、ドクターのための税金対策を公開します。

開業医の税金対策

 

 

個人事業主と医療法人の税金面でのメリットデメリット

 

No. 項   目 個人開業医 医療法人 ポイント
1 課税 所得税(累進課税) 法人:法人税

(約25~30%)
理事長:所得税(給与)

個人開業の所得税率が高ければ高い程、法人有利
2 生命保険料 控除額最大12万円 保険の種類により、
全額損金or1/2損金
個人はすぐに上限到達し損になるため、ほぼ確実に法人有利。
3 親族への給与 青色専従者給与
(実際に従事する必要あり)
従事していなくとも、理事等としての経営参画に対する給与を支払える 共に過大と認められる場合は、経費(損金)不算入
4 欠損金の繰越 3年間 9年間
(H29年4月1日以後は10年)
法人は個人の3倍以上の期間繰越可能。
5 院長退職金 事業所得の経費とならない 法人:損金算入
個人:退職所得課税(税負担低)
法人の経費に算入できる金額は、税務上適正な金額に限る

 

 

・法人化によるメリット

 

  1. 役員報酬

法人化することにより、青色事業専従者以外でも、親族を理事にすることで、役員報酬を支給でき、個人開業の場合の院長の税率の高い所得を分散することが可能です。

 

  1. 役員退職金

個人開業の場合は、廃業の際に自分に退職金を支払うことはできません。(経費になりません。) それゆえ、小規模企業共済(月額上限7万円)ぐらいしか、税金を安くする退職金積立はありません。そのため、毎年所得税を払った残りを自身で積立てる必要があります。これでは手残りがかなり少なくなってしまいます。

それに比べ法人では、支給した退職金が全額損金となりますので、大きな違いがあります。

また、法人では、生命保険を活用して退職金を積み立てる方法が多く活用されています。毎年積立てる保険料が損金になるからです。

 

例えば、年間500万円の利益を生命保険で積立てると、毎年の保険料支払額は損金となり、法人税は課税されません。掛け続けた保険が20年後に1億円になっているとし、解約して退職金として支給すれば、法人税は課税されません。

 

これに対し、何もせずに20年後に法人から1憶円を支給しようとすると、

1.4憶円 【1億円÷(1-30%※法人税率)】

の利益が必要となります。毎年714万円の利益から214万円の法人税(30%と仮定)を支払った、残りがやっと500万円になるからです。

 

節税額は、単純計算で214万円×20年=4,280万円となります。

 

・退職金は優遇税率が適用される

 

1憶円の退職金を勤続年数20年で受け取ると、所得税・住民税は、2,083万円です。正味の税率は約20%です。

 

所得税の税率表で考えると、2番目に低い税率です。(所得税10%+住民税10%)

 

退職所得は、退職所得控除(1年あたり40万円。21年目からは70万円)と、1/2課税と分離課税が適用されるため、税負担が非常に軽くなり、手取りが多くなります。

 

  1. 生命保険の活用

個人では、控除の上限金額が非常に少なく、節税メリットはほとんどない生命保険ですが、法人にすると上限金額がなくなり、非常に有効に活用できます。

前段での退職金積立としても有効ですが、本来は保障目的のために加入すべきものなので、借入に対する個人保障など、理事長にもしものことがあった時に医療法人の運営や家族に迷惑がかからないように加入すべきものです。

 

退職金積立、保障としての加入した生命保険が全額もしくは、半分損金になるワケですから、これは法人化の大きなメリットと言えます。

 

また、法人で掛金をかけておいて、最終的な受取は個人とし、結果的にほとんど税負担なく個人に現金を取込むことが出来る保険商品もあります。今後の課税の取扱いに注意する必要はありますが、こういった活用をされているケースも実際には存在します。

 

 

 

  • これから開業を目指す方について

・開業してからの税金 (個人開業する場合)

一番の違いは、給与所得から事業所得に変わり、保険診療収入や自由診療収入等の売上から薬品仕入、検査委託費、人件費、家賃など、実際にかかった経費を差し引いて所得計算をします。請求書、領収書等の保管が必須となります。これらの証憑書類の保存期間は5年間です。

 

・開業費(開業にかかった経費)の領収書を捨てないこと

これは意外と注意が必要です。開業までにかかった経費は、開業後に任意で経費にすることが可能です。

通常、税理士に顧問を依頼するのは、開業直前や、開業後なので、税理士と接点がなかった勤務医時代に休日等を利用して開業準備にかかった経費の領収書等を破棄されているケースが見受けられます。これらの領収書は必ず保管しておかれる方が良いでしょう。

また、開業費を経費として算入する時期は任意となっていますので、開業後軌道に乗り、税率が高くなってから経費算入する方が節税効果は高くなります。

 

例)開業費 500万円

・ 開業初年度 所得 1500万円 税率 33% の場合

 

節税額 500万円 × 33% = 165万円

 

・開業3年目 所得 4500万円 税率 45% の場合

 

節税額 500万円 × 45% = 225万円

 

差額 225万円 ― 165万円 = 60万円

 

・開業費の例

・開業セミナー参加費

・開業までの旅費、家賃、通信費、業者打合せ費用

・開業までの借入金利子

・開業に関する情報収集費用

 

なお、開業までどれくらいの期間まで何年前ぐらいの経費まで開業費に算入できるかという期間については、開業にかかった費用であれば期間の制限はありませんが、実務的には開業前1年位までのものが多く見受けられます。

 

・税務面で気を付けること(親族からの借入金)

初期投資の費用を、金融機関からの借入とせず親族から借入をした場合、返済もせずいると、親族からの贈与と税務署から指摘されるリスクが高くなります。仮に1,000万円の借入を贈与認定されると贈与税は、177万円になります。(直系尊属からの贈与。特例税率の場合)

余計な税務リスクを負う必要がないように、①金銭消費貸借契約書の作成②返済の実施を忘れずに行う必要があります。

 

 

 

・青色専従者給与は高額すぎると否認される

青色申告をしている個人事業主の場合、事前に税務署に届出をすることにより、医院の仕事を手伝ってくれる親族に給与を支払うことができます。これを青色専従者給与と言います。例えば、年間500万円の給与を奥さんに支払う場合、支払った500万円は院長の経費となり、所得税が安くなります。もちろん奥さんは給与をもらっているので、給与所得に対する所得税が課税されます。

しかし、ほとんどの場合、院長の税率の方が高いので、家計全体で考えるとトータルでの所得税は安くなります。

 

例 院長所得 4,500万円 専従者給与 500万円

 

専従者給与による節税額:  500万円 × 45% = 225万円

 

奥さんの給与所得に対する所得税は、約21万円なので、約200万円の節税となります。

 

 

*1 給与所得は基礎控除のみ

*2 住民税は考慮外

 

専従者給与には注意すべき点が2点あります。

・実際に従事しているか

1年のうち半年以上、実際に従事することが要件となっているので、平日は他で週3日以上働きに行っているようだと、そもそも専従者として認められなくなるリスクがあります。

 

・業務に応じた対価であるか

ここが最も重要です。いくらまでなら大丈夫という明確な基準はありませんが、第三者に給与を支払うならいくらかや、業務に対する対価として合理性があるかどうかが経費算入できる金額の分かれ目です。

奥さんが医療事務、経理のみをやっているのと、看護師や薬剤師資格を持っており、それに応ずる業務も追加してやっている場合だと、専従者給与として支給できる金額も多くなります。

『奥さんだから』という“お手盛り”が最もリスクのある決め方です。

 

 

 

なお、青色事業専従者給与として認められる要件は、次のとおりです。

 

(1) 青色事業専従者に支払われた給与であること。

青色事業専従者とは、次の要件のいずれにも該当する人をいいます。

イ 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。

ロ その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。

ハ その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。

(2) 「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること。

提出期限は、青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合や新たに専従者がいることとなった場合には、その開始した日や専従者がいることとなった日から2か月以内)までです。

この届出書には、青色事業専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを記載することになっています。

(3) 届出書に記載されている方法により支払われ、しかもその記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。

(4) 青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること。

なお、過大とされる部分は必要経費とはなりません。

 

 

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ドクターのための税金対策

 

*1 平成28年4月16日現在の法令に基づいております。

*2 今後の税制改正等には十分ご注意ください。

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