身近な人が亡くなった時 | 大阪で相続の相談なら相続カフェ

身近な人が亡くなった時

遺言書のトラブルについて

人が亡くなった場合に発生する「相続」において、被相続人(亡くなられた方)との血縁関係者を法定相続人として相続の手続きが行われるのが一般的ですが、中にはあらかじめ「遺言書」を作成されるケースがあります。遺言書を残す場合の多くには「トラブルを避けたい思い」や「遺言者の強い思い」などが関係してくるため、法定相続に大きな影響を及ぼすことがあります。

 

遺言書の効果とは?
遺言書は、財産の所有者が生前にあらかじめ相続発生後の相続人を指定することで、法定相続人に優先して相続を指定することができます。よって、自分の相続発生後に「法定相続人」の同意を得ることなく、相続の手続きを遂行することができます。

 

知っておきたい遺言の種類とメリットデメリット

遺言書といっても種類やルールがあり、一定条件を満たしていないものは公的効果を持たないため注意が必要です。遺言書の種類と、メリットデメリットについてご説明いたします。

 

  • 自筆証書遺言

これは「自筆」という文字のごとく、自分で作成する自作の遺言書になります。用紙の指定は特になく、自宅にある白紙に遺言内容や自身の意志を綴ることで遺言書としての効果を発揮します。当然費用がかかることもなく、自宅でも作成できます。ただし、遺言者の相続発生後に自筆証書遺言が発見された場合は、開封する前に管轄の家庭裁判所にて「遺言書の検認」の手続きを必要とし、検認が完了した時点で効力を持つ遺言書として認められます。

 

メリット:費用がかからない・自宅で誰でも作成できる

 

デメリット:一定の書式を満たさなければ効力を持たない・発見されない場合がある・内容を改正される危険性や悪用される危険性がある・自然災害などで紛失される場合がある・開封前に管轄の家庭裁判所での手続きを必要とする

 

  • 公正証書遺言

これは自筆証書遺言とは違い、「公証役場」という公的な機関による「公証人」を交えて作成する公式な遺言書になります。内容は自分で意思表示を行うものの、遺言書自体の作成は公証人が行うため「表記ミス」や「規定の書式」などがないよう念入りな打ち合わせの上作成されるため、意思表示と効果の間に相違が発生するというリスクを回避することができます。

 

メリット:公証役場によって作成してもらうため表記に怠りなく絶対の効力を持つ・正本副本を作成されるため、1通が公証役場に保管され半永久的に保管される・証人が2人設定されるため、万が一の場合に不正や内容の改正を避け、確実な遺言内容が立証される

 

デメリット:遺言書の作成にあたり費用がかかる・公証役場との打ち合わせを要する

 

遺言書によって起こりうるトラブルとは?

 

「遺言書の作成でトラブルが発生するのであれば、遺言書に意味がないのでは?」と思ってしまうかもしれません。しかし、実際は財産を巡った「人間関係」で揉めてしまう場合や、そもそも「遺言書自体に問題がある」場合など、様々なケースがあります。

 

遺言書

  • 自筆証書遺言が後から出てきた。

これは自筆証書遺言つまり「自分で作成した」ということがきっかけとなるトラブルに発展してしまいます。自分で自筆証書遺言を作成したものの、いざ相続発生後には発見されず、遺産分割協議などの相続手続きが完了した後に発見されてしまった場合などが該当します。この場合は「遺言書の内容」が優先されるため、手続き内容が遺言書の内容と異なる場合は、遺言書の内容を最優先として再び手続きを行う必要性を問われます。また、遺言書に関しては書面での遺言が認められているため、映像媒体での記録や電子記憶媒体に遺言者の意思を示した内容の物が後から発見された場合、遺言書としての効力を持たせることができませんので、無念となってしまうケースもあります。

 

  • 自筆証書遺言の必要項目記入漏れ、または誤記入

自筆証書遺言が発見されたが、一定の書式を満たしていないが故に無効となりトラブルへと発展してしまいます。また、遺言書の内容に記入上の誤りがあった場合もまた、効力を発揮することができなくなる場合があります。大前提として「誰が読んでも解読できる」という意思疎通の必要性を問うため、自分や限られた人しか読めない「暗号」のような表記はもちろん、解読ができない文字は無効となってしまう場合があります。数字ひとつ違えども、その影響は大きなトラブルへと展開してゆきます。遺言者の最後の思いがあるにもかかわらず、その内容が優先される効力を持たずして相続の手続きが開始されてしまうことになってしまうのです。自筆証書を作成する場合は、一定の記入事項をあらかじめ専門家等に確認を行うなど、記入漏れや書き間違いなどに注意が必要です。

 

  • 人間関係上のトラブル

遺言の有無によるトラブルの中でも「再婚をしている夫婦」というケースには注意が必要です。再婚をしている場合、前妻夫との間に子供がいるかどうかによって大きく左右されてしまうからです。「隠し子」も同様に、相続が発生してから気づくという場合も考えられます。こうした前妻夫の間に生まれた子供や隠し子というのは、再婚後も相続の発生においては「法定相続人」として登場することになりますので、手続きを円滑に行う目的で遺言書を活用する場合があります。しかし、こうしたケースでは一度も会ったことのない子供やその親権者などが登場してくる場合があり、お互い面識のないもの同士でやりとりをしなければならない状況などがトラブルの原因となってしまうのです。こればかりではなく、遺言内容自体に不満を持つ場合の人間関係のトラブルに発展してしまうこともあります。一部例外を除いて法定相続人に認められた権利である「遺留分」などをめぐり論争となってしまうことで、後の人間関係へと影響してくるケースも考えられます。また、自分が遺言による財産分与の対象外の被害者になってしまう場合もあります。こうした場合には「遺留分」が認められるかどうか判断をした上で、主張できる場合には遺留分で認められた相続分を取得することができます。

 

  • 遺言執行者の選任制度によるトラブル

遺言者が自身の相続発生後の相続手続きについて「遺言執行者」を定めていた場合に、感情論へと展開しないために第三者や機関を指定する場合があります。遺言執行者が「代理人」として疑惑なき人物であれば良いのですが、中には選任自体に疑問を持たれてしまうなど、近い人物であることから不当性を疑われてしまうケースなども考えられます。遺言執行者の選任を考える場合には、平穏かつ公然に執行を行うことができる立場の人間または機構を選任することが望ましいでしょう。

 

  •  子供がいない夫婦の遺言書トラブル

 

結婚はしていて再婚もなく子供もいないので、遺言書は不要!と思ってしまいがちですが、このような場合にもトラブルが発生してしまう場合があります。確かに婚姻関係がある場合は、配偶者は常に法定相続人となるため相続権は認められます。しかし、夫婦間に子供が存在しない場合の法定相続人は「配偶者」ではなく「配偶者及び被相続人の両親または兄弟姉妹」となります。いざ相続が発生して、配偶者が100パーセントの財産ではなく2分の1の取り分となってしまいます。残る2分の1は、亡くなられた方の両親または兄弟姉妹での分割となります。財産の取り分の話でトラブルとなってしまう場合も然り、手続きのたびに関係者全員の同意と身分証明書の提示や署名捺印を必要とするため、円滑な相続手続きが実行できないケースも考えられます。

 

  • 明らかに不正とみられる場合または偽造と推定できる場合

遺言書で一番怖いのが、自筆証書遺言を誰かが捏造したり内容を変更したりという不正行為です。公正証書遺言と違い、誰でも簡単で自由に作成できることから、その証拠を辿るのが難しい場合もあります。遺言書の内容で「そんなはずはない」と言った文面が残っていたとしても、それが遺言者の意思の可能性や不正を働いている可能性についても考えてしまいます。つまり一定の書式や条件さえ満たしていれば、自筆証書遺言の効果を持ってしまうことが結果としてトラブルを引き起こしてしまうことになります。

 

 

このように、遺言書の有無によって発生してしまうトラブルは多く存在し、相続における人間関係トラブルは、まさに「争族」となってしまうのです。相続は、個人個人の環境によって状況が異なるため、遺言書があったほうが有効である場合にはもちろん活用されますが、遺言者の意思で遺言書が残されることは誰も咎めることはできません。本来であれば、死後も個人の所有していた財産を自由に処分できるよう自由を認めるべく権利ですが、必ずしも望ましい方向へ働くとは限らないのが実際です。遺言の内容は優先されますが、人間の感情は有無を問われないことから、トラブルの発生も余儀なくされます。財産を守るという大きな効力を持っている傍、こうしたトラブルと隣り合わせである遺言書には、内容次第で人間関係を崩してしまうということにも繋がりかねません。

 

こうしたトラブル等を最小限に抑えるためにも自筆証書遺言の場合は、速やかに管轄の家庭裁判所への検認手続き、それに伴い専門家への相談を行うことで適切なアドバイスを仰ぐことができます。公正証書の場合は、遺言者の強い意志を理解し、証人や理解者を交えた上で公平に話ができる環境を設けるなどして、円滑な相続手続きを心がけるとよいでしょう。

 

まとめ

人間は感情を持った生き物ですから、財産が絡んだり損得の不公平が発生すると、今までとは違う反応を示したり感情を刺激されることは避けきれません。相続手続き等の一連を通じて、お互いが疎遠になってしまうことも珍しくないため、不安な要素がある場合は専門家による正確な助言を頼るも有効であり、何と言っても遺言者の最後の思いが保持されることが一番の望みであります。

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これだけは知っておきたい!!相続がおこった時のマメ知識

はじめに相続とは、人間が亡くなった瞬間より発生する「民法によって定められたルール」になります。亡くなった方と血縁関係にある方は「相続人」として相続開始の瞬間から、被相続人(亡くなった方)の財産に属した一切の権利義務を承継するという定めになっております。相続なんて自分には関係ないと思っている方も、財産がたくさんあり相続について不安を感じたことがある方も、知っておくことで得する豆知識をご紹介させていただきます。

 

相続権のある人

・相続権のある人は誰?

相続権について法律では「相続人」と「相続分」に対して一定のルールを設けております。「相続人」とは「相続する権利がある人」のことであり、「相続分」とは「相続人が遺産を相続できる法律上の割合」のことを言います。相続人については、大きく分けて2つに分類されます。

 

1、遺言で指定された人

遺言書によって相続人を指定されている場合は、相続権が発生します。この場合「家族」や「身内」に限定されることはなく、遺言者が指定することができます。

 

2、法定相続人

配偶者+次のいづれか

①子供(先に死亡している場合は、その子供の孫)

②親(①に該当しない場合)

③兄弟姉妹(②において両親も先に死亡している場合)

※兄弟姉妹が先に死亡している場合は甥姪

 

このように、亡くなった方よりも先に死亡している場合の次の相続人のことを「代襲相続人」と言います。

法定相続人は原則として、相続分については相続人間において「話し合って決める」ことが優先されます。話し合いでも決まらない場合においては「法定相続分」として、法律の定める割合で遺産を分配させることができます。(法定相続分での分配は後に持分などでトラブルになるケースが多いので注意が必要です。)

 

・法定相続分

(配偶者+子供)

配偶者は常に相続の対象となり、法定相続分割合では2分の1の割合を取得することになります。子供がいる場合は残りの(2分の1)x(子供の人数)=相続分となります。

(配偶者+両親)

配偶者の法定相続分割合は3分の2となり、両親は残る3分の1を双方で分割するため(6分の1)x両親2人=法定相続分となります。

(配偶者+兄弟姉妹)

亡くなった方の両親が先に亡くなっている場合は、配偶者の法定相続分割合は4分の3となり、残る(4分の1)x(兄弟姉妹の人数)=法定相続分となります。

 

相続財産の範囲

・財産になるものならないもの

「相続」では、プラスもマイナスも全部「相続財産」として引継ぐことになります。財産という言葉から連想するものは、預貯金や証券などの金銭価値や土地建物の不動産など、「プラスのイメージ」が強いですが、相続財産にあってはこればかりではありません。

 

(プラスの財産)

不動産(土地・建物)、現金、預貯金、有価証券、宝石、書画骨董など

(マイナスの財産)

借金、保証、未払いの最後の入院費など

 

遺産とは、亡くなった方が残した財産(権利と義務)のことを言います。そのため、必ずしも所有する「形ある金銭価値」(権利)ばかりではなく、未払金・滞納金や支払い義務のある請求書を始め、借金などの債務に対しては「支払わなければならない対価価値」(義務)が残っている場合もあり、これらを全て合わせた上で遺産の相続及び分割を検討する必要があります。

つまり「金目のものは欲しいけど借金はいらない」という限定はできないということになります。

 

借金相続

・知らなかったは通用しない!?

相続財産にマイナス財産つまり「借金」があったので放置しておいた。この場合「借金は相続する」ことになります。放っておくことで「相続を放棄」と勘違いしてしまいますが、法律では「相続開始を知った時から3ヶ月以内に相続放棄の意思を申し出ない場合は相続するものとしてみなされてしまいます。相続放棄については、正式に「家庭裁判所」にたいいて「相続放棄」の手続きを行うことで初めて受理され、無事にじゅりがかんりょすることで「初めから相続人でなかった」ものとみなされます。このように法律の世界では「知らなかった」というのは認められず、法律というルールである以上は「O」か「X」の2択になってしまいます。

免許を持っていない人が車を運転して、赤信号を無視したとします。警察官が現行犯で取り締まりを行い、「免許を持っていないので知らなかった」「車の運転に免許が必要とは知らなかった」と証言しても、法律は「知らなかった」という行為に対しては「同情」してくれないことを覚えておきましょう。

 

相続税の心配

・相続税がよくわかない〜

相続税とは、亡くなられた方から相続などによって個人が財産を取得した場合に、その取得した財産に課される税金になります。相続税の申告については、「亡くなられた日の翌日から10ヶ月以内」に、亡くなられた方の最後の住所地を管轄する税務署に相続税の申告書を提出しなければなりません。必ずしも全員が該当するとも限らないため、基礎控除を参考に税理士の相談を利用しましょう。※税務に関する相談対応については「税理士法」において、税理士資格所有者のみが許されている行為になります。

 

・遺産にかかる基礎控除

相続税には基礎控除と呼ばれる下記のような「非課税枠」が設けられております。

3000万円+(600万円x法定相続人の数)※平成27年1月1日の税制改正

 

平成27年以前は基礎控除の枠が大きく5000万円以上の方が対象であったため、大幅な基礎控除額の減少によって納税義務者が増えたことは事実です。不動産や自社株などを所有している場合は「評価額」を知っておくことで、対策や相談を優位に行うことができます。

近年では税金対策という言葉も増えてきており、様々な形へ財産を有効活用することで、次世代へ最も適切な形で残すこともできるようになりました。

 

相続の手続きとは

・どんな書類が必要になるの?

相続の手続きには、どこから始めるにもまずは「相続手続き書類」が必要になり、これを揃えるのが結構大変です。具体的には次の書類が必要になります。

①遺言書 または相続人全員の署名実印押印のある遺産分割協議書

②戸籍一式(亡くなられた方の出生から死亡まで、相続人との関係がわかる戸籍一式)

③相続人全員の印鑑証明書(遺言書の場合は不要)

④相続する人の住民票   など

※行政・金融機関などによっては、規定の用紙やその他にも情報開示を求められる場合もあります。

 

一般的な手続きといえば、まずは「不動産の名義変更」があり、「金融機関の解約」「保険の解約及び保険金受取」などが眼前に立ちはだかります。これらの手続きすべてにおいて「相続手続き書類」は都度必要となり、必ず原本の提示を求められます。手続きによっては、止む得ず原本を郵送にて送る場合など、必ず返送してもらうことと、手続きに大変時間がかかることを覚えておきましょう。その書類がない間、他の手続きは一切前に進まないことになります。遺言書がある場合には省略できる書類もありますが、内容によりけりということもあり専門家に相談をする必要があります。特に手書きの遺言が発見された場合には、そのままでは効力を持たず「有効にする」作業を家庭裁判所に対しておこなう必要があります。家庭裁判所に提出する前に、遺言が有効なものであるかどうかを判断してもらうことで、無駄な費用は省けます。各種証明書類などについても難しい場合は、司法書士などの専門家に一度相談をしてみましょう。

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『気付いた時にはもう遅い?相続の準備でやっておくべき事』

「終活」や「エンディングノート」と言う言葉も今では当たり前のように耳にしますが、そんな言葉ができたのはごくごく最近の事です。
少し前までは公証役場で作成してもらう「遺言状」が主であり、亡くなった後に「おばあちゃんは大きなダイヤを持ってたはず!」なんて家族総出で探し回るなんて言うちょっとした笑い話もありました。

 

いつかはやっておかなきゃ。と思いつつも、つい先延ばしにしがちな相続の準備。
相続は大きな金額のお金が絡む事が多々あり慌てて手続きをしてしまったばかりに損をしてしまうのもよくある話です。

 

ご自身や家族の死について考えるのはとても悲しい事のように感じてしまいますが、相続について事前に準備をする事は残された家族の幸せの為にとても大切な事です。
もちろんいつまでもお元気なのが一番ですが何があるかわからない人生、残されたご家族がスムーズに手続きをできるよう普段から相続の準備をしておきましょう。

 

●定期的に資産のたな卸しを

相続をする際に財産として評価される物は様々です。
今住んでいる自宅の土地や建物・預貯金はもちろんですが、株や公社債、貴金属や絵画なども相続財産として評価されますしバブルの頃に流行ったゴルフ会員権も相続財産としてみなされます。

 

不動産や貴金属・絵画など目に見える物であればおおよその見当が付くので比較的わかり易いでしょう。
ですが、預貯金や株は通帳などで履歴が見れなくては本人以外には把握する事ができません。
同居している家族であればまだ良いですが何年、何十年も前に独立し別々に住んでいた家族の事は思ってる以上に知らないものです。

 

こう言った、普段は家族でも目にする事の無い資産に関しては年に一度で良いのでご自身でたな卸しをし、一覧にまとめておきましょう。

 

ご自身で把握する為のいい機会にもなりますし、何より残されたご家族が混乱するのを防いでくれます。

 

●重要書類の保管場所は信頼できる人に伝えておく

先に書いた資産の一覧もそうですが不動産の登記識別情報(昔で言う権利証の事です)や預金通帳・実印など重要な書類はまとめておき保管場所を信頼できる身内に伝えておきましょう。

 

自宅に置いておくのが心配であれば銀行の貸金庫を利用するのもお勧めです。

貸金庫は事前に届出をしておけば本人以外でも入出庫が可能です。
大切なのはどこに保管しているか、ご自身以外の誰かが把握している事です。

 

 

相続には不動産の売買が付随する事が多々ありますが不動産を売却する時には登記識別情報(権利証)が必要です。

1つの例として不動産を挙げましたが、不動産に限らず預貯金や株など資産と言われる物を相続する際はそれに関する重要書類の提出を確実に求められます。

 

「貯金をしているとは聞いてたけど、どこの銀行だかわからない」
「株や投資信託の話はよくしてたけど、実際どれくらい持ってたのかさっぱり・・・」
と言った状況で、ゼロから調べていくのはとっても大変です。

それでも全ての資産が見つかれば良いのですがどこで資産運用をしていたのか結局わからず仕舞になってしまったりはたまた弁護士に依頼した事で余計な費用がかかってしまったり再発行をする為に時間とお金を要してしまったり。
書類の所在がわからない事は残されたご家族にとって想像以上の労力を生みますのでいざとなったら誰も把握してない!と言う事が無いように注意しましょう。

 

 ●万が一の時、連絡する人のリストを作成しておく

これはエンディングノートなどでよく言われる事ですがもしもの事があった時、連絡するべき人の連絡先をまとめておきましょう。
親戚やお友達はもちろん、仕事で繋がりの強い方やご近所付き合いのあった方、今までの人生を振り返れば連絡してほしい人の顔が次々と思い浮かぶのではないでしょうか。

 

人が亡くなった時と言うのは寂しい気持ちが溢れる反面、お葬式やら何やらで非常に慌しく1つ1つの事をノンビリやっている時間など無いものです。
そんな中で故人のお付合いのあった方や生前お世話になった方に連絡を取るのは負担の大きい作業の1つですがお付合いのあった方がわからない、ましてや連絡先がわからない、となるともはやお手上げになってしまいます。
そうならない様、万が一の時は必ず連絡してほしい「人生のアドレス帳」を作っておきましょう。

 

そして大切なのは預貯金を管理しているメインバンクや証券会社の担当者などご自身の資産を管理してくれている機関を必ずリストに載せておく事です。
生命保険をかけている場合は、保険会社の担当者も漏らさず記載しておきましょう。

 

そうすれば、もし突然の不幸が襲ってしまったとしてもご家族が慌ててテンヤワンヤになる必要がありません。

 

●やっぱり重要な効力を持つ「公正証書遺言」

いくらご自身が万全の備えをしていても身内同士での骨肉の争いと言うのはどうしても無くならないものです。
それまであまり見る機会が無かったようなまとまったお金を目にすると仲が良かった親子や兄弟、親戚同士で見るに耐えない争いが始まる事も珍しくありません。立場が違えば主張も違う、何とも悲しい事です。

 

そんな事態を避ける為に重要な効力を持つのがやはり「公正証書」による遺言状です。

 

公正証書は公証役場へ行き作成してもらうものですが公証人の印が押印されており、法的な効力を持ちます。作成費用は公正証書に記載する金額により異なりますが基本的には数万円~で作成が可能です。(もちろん相続カフェに相談いただければ税金面も考慮した遺言の内容についてアドバイスさせていただきます。)

 

「死人に口無し」とはよく言ったものでご本人がどんな相続を望んでいようと、それを生きてるうちに書き残しておかなければ亡くなってからでは意思を伝える事ができません。
そう言った意味で公正証書は、何にも劣らない正確な意思表示ができるのです。

 

余計な争い事を防ぎ残されたご家族がこれからも仲良く暮らしていく為にご自身の意思を公正証書に残しておきましょう。

 

まだまだ元気なうちは死に向き合う事やましてやその後に発生する相続の事などあまり考えないかもしれません。
ですが、それは人間誰しも必ずいつかはやって来る事です。
早いうちから万全な準備をするに越したことはありません。
まして相続は、身内同士の争い事として群を抜いて多いのが現状です。
家族の為を思って残した資産が、家族の中を引き裂く事になってしまったら本末転倒。

 

人生を終えた後に「さすがだね!」とご家族に思ってもらえる様な相続の準備を今から始めておきましょう。

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【音信不通】連絡を取ったことがない相続人がいる場合

相続事案では普段付き合いのない人とやり取りが必要になることもあるので非常に気を遣います。

 

遠縁の親戚や連絡方法が分からない人が利害関係者になることも往々にしてあるので気苦労が絶えません。

 

例えば遺産分割協議書を作成して遺産を分割しようという場合、権利者全員の合意を形成する必要があるので全ての権利者が署名押印をしなければなりません。

 

もしその場にいないから、連絡が取れないからといって一人でも欠けた協議書を作成したところで、その協議書は無効となってしまうのです。

 

そのため相続事案では被相続人の血縁関係者を調べる必要があり、その結果連絡を取ったことのない者と意思の疎通を行わなければならないことも出てきます。

 

今回は連絡を取ったことがない相続人がいる場合にどうすれば良いかを考えてみましょう。

 

 

■相手と接触できる場合は

 

連絡を取ったことがない相手と相続事案について話し合うのは少し緊張しますが、遺言書に連絡先が書いてあるなど連絡先が分かる場合は丁寧な手紙を書いて相手方に相続が発生した旨を伝えましょう。

 

電話番号が分かっているなら電話で連絡するのもありですが、おそらく電話をかける方も緊張してしまうのと、電話を受けた相手方もいきなり相続の話をされたのでは面喰って落ち着いた対応ができないからです。

 

まずは手紙で相続が起きた旨を伝え、遺産の分割について話し合いたいのですがお時間を頂戴したいということを伝えてみましょう。

 

手紙には連絡先として自方の電話番号を記載しても良いですし、加えてメールアドレスを記載しても良いでしょう。

 

手紙であれ電話であれメールであれ、相手から接触があれば話し合いの日時や場所などを詰めます。

 

相続では遺産を貰うことができるということで好意的に対応してくれる場合もありますが、権利関係が絡むため緊張してしまったり、不必要に警戒されてしまうこともあります。

 

相手との距離を徐々に縮めるようなスタンスで丁寧な接触を心がけるようにしましょう。

 

 

■相手の連絡先が分からない場合

 

相続人調査では被相続人の戸籍を辿って生存している子や親兄弟など相続人となり得る者が他いないかどうかを確認する作業が入ります。

 

戸籍調査の過程で権利者となり得る者がいた場合、その者の戸籍の附表を取り寄せましょう。

 

戸籍の附表にはその者の住所地の異動についての情報が記載されるので、連絡先を調べることができます。

 

相手の住所地が分かったら手紙を出して相続が起きたことを伝えますがこの時もやはり文言には気を遣います。

 

相手からするといきなりの話ですから心理的に拒否感を持たれることもあります。

 

最近は詐欺事件なども横行していますから下手をすると「新手の詐欺か」などと警戒されて連絡を拒まれるかもしれません。

 

正体が分からない相手から「遺産分割について話し合いたい」と来られると警戒してしまうのも仕方がないかもしれませんね。

 

もし可能であれば相続関係図などを手紙に同封すると、相手も自分の地位を目で確認することができるので事態を把握しやすくなります。

 

最初の接触の段階でいきなり遺産分割協議書への署名押印を求めるなどしてしまうと一気に嫌悪感を持たれてしまい、以後のやり取りに非協力的になってしまうことが予想されるので控えて下さい。

 

 

■連絡が取れない場合はどうする?

 

相手の連絡先が分からずどうしても接触できない場合はどうすれば良いでしょうか。

 

この場合であってもその者を抜きにした遺産分割協議書を作ることはできません。

 

それでは事態が進まないので、特別な手続きをして事を進める必要があります。

 

連絡が取れない者に代わって一時的に相続財産を管理する「不在者財産管理人」の選任手続きを家庭裁判所で行います。

 

不在者財産管理人とは何らかの財産の所有者が行方不明などで居所に戻ってくることが期待できない場合などに、その財産を管理するために設けられる管理人のことです。

 

相続事案以外でも債権回収などの事案で財産の所有者と連絡が取れない場合に利用されることがある法的な制度になります。

 

不在者財産管理人は自分で誰かにお願いするのではなく、必ず家庭裁判所で選任手続きを経ることが必要です。

 

相続事案の場合はさらにこの管理者に遺産分割協議に参加してもらわなければ話が進みませんが、権限の関係で管理者を立てただけでは分割協議には参加できません。

 

そのため家庭裁判所での管理人の選任手続きの際に「不在者財産管理人の権限外行為許可」の申立てを行っておきます。

 

こうすることで管理人は不在者に代わって遺産分割協議に参加することができます。

 

不在者に代わって参加することになるので、その者の利益を害さないように話し合いを行うことになります。

 

 

 

■失踪宣告を利用する方法

 

上記は相続する権利を持つ者が生きている仮定の話ですが、住民票など書類上は生存をうかがわせるものの、連絡しても音沙汰なし、実際に訪問したり捜索しても所在を突き止められず音信不通が何年も続いている場合にはすでに死亡していることも考えられます。

 

そのような場合には失踪宣告という制度を利用することもできます。

 

失踪宣告とは戦争や船舶の沈没、震災などが原因で生命の危機に会いその生死が1年間明らかでない時や、そのような特別な事態でなくとも7年間行方不明が続き生死が明らかでない時などに、法律上その者を死亡したとみなす制度です。

 

人を勝手に死亡したことにしてしまうということで重大な権利侵害につながる危険もあるため、こちらもやはり家庭裁判所での手続きが必要になります。

 

戦争などでない生死不明の場合には、最後の生存確認から起算して7年間を経た時点で死亡したという扱いになります。

 

死亡扱いになるため、その者に子がいる場合は代襲相続が発生することになるのでケースによってはなお波乱含みになる可能性を残します。

 

またもし後になって生存が発覚した場合は色々面倒なことになります。

 

実は失踪者が生きていて、後から「自分はまだ生きている」と失踪宣告を取り消す手続きをしてこれが認められた場合、すでに作成した遺産分割協議書は無効とはなりませんが、もし残っている遺産があった場合は原則としてこれを返還しなくてはならなくなります。

 

このようなこともあり失踪宣告は気軽に利用できるものではありませんが、場合によっては検討することもあります。

 

 

■専門家を利用するのが無難

 

色々見てきましたが、連絡を取ったことがない相続人がいる場合、第三者の専門家を利用するのが安心安全です。

 

連絡先が分かっているケースでも、それまで接触したことがない相手方にコンタクト取るのは緊張や拒否感を生んでしまうことが多く、話がこじれてしまう要因になります。

 

ここに例えば第三者の弁護士や顧問税理士などから第一報の連絡をしてもらうことで、間に人が入る分心理的な摩擦を抑えてスムーズに接触することが期待できます。

 

手間がかかる相続人調査(戸籍調査)では専門家を利用することも多いので、その場合は相手方への連絡第一報を代わってしてもらうようにお願いしてみましょう。

 

裁判所での手続きが必要になる不在者財産管理人の申立てや失踪宣告などは弁護士や司法書士が担当しますが、個別に依頼するよりも普段から顧問をお願いしている専門家を窓口にすれば連携している専門家が動いてくれるので、ワンストップで手間がかかりません。

 

手続き面だけでなく、遺産分配は利害が絡むので自分たちだけで処理してしまうと後から問題が持ち上がることも考えられます。

 

専門家をうまく活用して間違いの無い相続処理を目指したいものです。

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相続関連手続きスケジュール

相続事案の怖いところは前触れなしに訪れることが多いということです。

 

遺族となり得る方に医師が「いよいよ準備を」と病床で促すこともあるでしょうが、それも当日や前日であることが多いですね。

 

子どもが生まれる場合は出産時期などをあらかじめ予測できるので諸準備の対応がしやすいですが、人の死の場面は予測が難しく、精神的にも動揺してしまってしばらくは的確な行動がとれないこともあります。

 

そこで平素から相続がいざ起きた時にはどのような行動が必要になるのかを把握しておくことが大切になります。

 

今回は相続に関係する手続きと、その手続きにあたってどんな行動が必要になるのか考えてみましょう。

 

 

■7日以内には役所への死亡届を

 

相続は人が死亡することですからそのご遺体の処理を適切に行わなければなりません。

 

病院で死亡した場合でも自宅で看取った場合でも、必ず医師による死亡診断が必要です。

 

医師は死亡を確認すると死亡診断書を作成してくれます。

 

この死亡診断書は死亡届とセットになっており、半分を死亡診断書として医師が記入し、もう半分を遺族が必要事項を記入して地元の市区町村役場に死亡届として提出します。

 

すると役所からは火葬許可証が発行されますので、火葬場でご遺体の焼却ができるようになります。

 

火葬場では埋葬許可証が発行され、これをもって無事に埋葬ができますので、ご遺体の処理としては一件落着となります。

 

 

■3か月後に迫る限定承認または相続放棄の準備

 

一方、財産関係の問題は別に動かなければなりません。

 

相続の放棄や限定承認をするためには被相続人の死亡(相続発生)から3か月以内に家庭裁判所への申述が必要です。

 

相続の放棄は被相続人に借金など負債の方が多く、そのまま相続してしまうと相続人が借金の返済に追われることになる場合に「相続人となりません。なにも承継しません」ということです。

 

限定承認はプラスの財産の範囲でのみ借金などマイナスの財産の負担をまかなうことができるもので、放棄も限定承認も正しく手続きをしないと、単純承認といってプラスの財産もマイナスの財産も全て承継しなければなりません。

 

ですから隠れ借金がよくある自営業の方が亡くなった時は特に注意が必要です。

 

つまり単純承認して全ての遺産を承継しても問題ないのかどうかというのは自分で遺産の内容を詳しく調べてみないと分からないということです。

 

そのため財産関連の情報を自ら採集していく作業が必要になります。

 

また遺産の取り分は相続人の数にも影響されるので相続人の確定作業も同時進行で進めます。

 

遺産の情報は被相続人が残してくれる遺言書に多くの情報が書かれているのでまずは遺言書を捜索します。

 

被相続人が自筆で作成した自筆証書遺言は公正証書遺言と違って、家庭裁判所で偽造などの跡がないかどうかを調べる「検認」という作業が必要ですから勝手に開封せず、裁判所に持ち込んで手続きを取らなければなりません。

 

同時進行で相続人の調査も必要です。

 

被相続人の戸籍を辿り、その出生までさかのぼって関係する血縁者を探します。

 

引越しが多い方が亡くなった場合は複数の役所と何度かやり取りして手間と時間をかける必要が生じることもあります。

 

この作業は行政書士などの専門家に代行を頼むことができます。

 

戸籍情報の読み取りは素人では難しいこともあるので専門家を頼るのが面倒がなくて済みます。

 

特に電子化前の古い戸籍は筆跡の判別に非常に苦労することもあります。

 

遺産の種類や額の検証も並行して行います。

 

遺言書に書かれた現預金や不動産などの遺産だけでなく、借金についても調査して、それらを「財産目録」として一覧表にまとめます。

 

借金については遺言書に記載がないことも往々にしてあるので、督促状や支払通知書などを見つけたらその会社(金融機関など)に連絡を取って債務の状況を確認しなければなりません。

 

事業を行っていた方が亡くなった場合はこの債務調査を特に念入りにした方が良いです。

 

難しい場合は専門家に依頼すれば代行してくれます。

 

さてこのように相続人の人数を確定し、また遺産のプラスマイナスを確定すると自分がどれだけの遺産を承継できるのかが分かります。

 

ここまでやってようやく「承継しても問題ないか」が判別します。

 

問題がなければそのまま単純承認でOKですが、負債の方が大きくなる場合は相続放棄の手続きを取ります。

 

また何らかの要因で負債額の詳細が判別できない場合もあるでしょう。

 

その場合はしっかりと調査したうえで財産目録などの説明資料をそろえ、責任がプラスの財産の範囲に限定される限定承認の手続きをとることもできます。

 

ただしこの限定承認は実際の手続きがひどく煩雑で時間がかかることや、相続人全員の合意で行う必要があることから手続件数としては多くないのが実情です。

 

 

■4か月後に迫る準確定申告の準備

 

準確定申告とは被相続人のその年の収入について、相続人が代わって行う確定申告のことです。

 

たまに、相続税の確定申告と勘違いする方がいますが、これはあくまでも「被相続人の分の」収入について申告と納税を代わって行う作業になります。

 

年金だけで生活している方が亡くなった場合は特に手続きが要らないこともありますが、その場合でも年金の額が400万円を超える高額受給者である場合や、その他の収入がある場合は多くのケースで確定申告が必要です。

 

特に事業を行っていた方の場合はその事業に関係する帳簿などを採集して、経費処理なども行ったうえで税務署に対して申告と納税が必要です。

 

相続発生後4か月というのは余裕がありそうですぐに来てしまいますから速やかに準備に着手しましょう。

 

経理の担当者がいれば心強いですが、個人事業で従業員がいない場合などは事業所内を捜索して仕入れ表や納品書など関係書面の収集が必要になってきます。

 

経費処理などの計算が難しい場合税理士が代行してくれますので適宜利用しましょう。

 

 

■10か月後に迫る相続税の申告と納税

 

こちらが相続人の方自体にかかる相続税という税目の処理過程です。

 

相続税には基礎控除の枠があり、これ以下の遺産額であれば相続税はかかりません。

 

問題となるのはその遺産の評価額です。

 

相続税は課税対象となる財産に一定の税率をかけて税額を算出しなければなりません。

 

現金や預金はそのままの数字で良いのですが、不動産はどうでしょう?あるいは証券類は?

 

こういった財産は国が定める「財産評価基本通達」に則って一定の規則で評価を行い、遺産を数字化しなければならないのです。

 

従って被相続人が残してくれた遺産は全て相続税の計算の為に財産評価を行い数字化するという作業が必要になります。

 

素人では難しい場合は税理士に依頼しましょう。

 

また相続税は複数相続人がいる場合、個々人で計算して申告納税しなければなりません。

 

ですから自分がどれだけの財産を承継するのかといったことを確定しなければなりません。

 

そのためには他の相続人と協議を行ってその合意を書面化しておく必要があります。

 

遺言書があってその通りにする場合や相続人が一人だけの場合など遺産分割協議書が必要ないケースもありますが、複数相続人がいるケースでは多くの場合後でトラブルが生じないように合意書面として遺産分割協議書の作成を行います。

 

不動産については名義の変更が必要で、その登記の際には登記官が「確かにこの者に権利がある」と分かる資料としてこの遺産分割協議書の提出を求められることもあります。

 

このようにして、相続財産を数字化し、各相続人の取り分を確定すると、実際に自分がどの財産をどれくらい承継するのかが目で見て分かるようになります。

 

相続税の申告は相続開始から10か月以内にこれらの情報を基に税務署に対して申告納税手続きを行いますが、その申告先は被相続人が生前住んでいた住所を管轄する税務署です。

 

間違えやすいですが相続人の住所管轄ではないので注意してください。

 

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相続人と相続分の関係

最近は人間関係が希薄になってきたため、親戚付き合いをあまりしないという方が増えているようです。

 

普段は余計な付き合いをしないことで余計なトラブルもまた避けることができるということもあるのかもしれませんね。

 

ただ人が一人死ぬということは、その方と関係する一定の血縁者は否応なく相続事件に巻き込まれるということになり、ここで近親者や普段付き合いの無い親せきとの揉め事に発展することもあります。

 

相続事件では関係する者同士は利害関係者となるので、余計な入れ知恵や虚偽のアドバイスなどが横行する可能性もあります。

 

自分の、あるいは自分の配偶者や味方の利益を増やそうと他者を陥れるような行為も起き得るのです。

 

ですから相続に関して正しい知識を持つことは自衛の面でとても大切です。

 

今回は相続が発生した際の相続人の種類や取り分について見ていきましょう。

 

 

■誰が相続人になる?相続人と法定相続人

 

たまに聞かれる質問として相続人と法定相続人は違うの?という疑問があります。

 

法定相続人というのは法律があらかじめ想定している相続人のことで、日本では民法という法律がこれについて規定しています。

 

法定相続人は複数想定されていますが、これらの者が全員必ず相続人となるわけではありません。

 

相続人となる権利はあるものの、具体的なケースに当てはめるとその権利を行使できる者は一部に限られてくるのです。

 

法が想定している相続人は以下の者です。

 

「配偶者」

被相続人と法律上の婚姻をした者です。内縁の妻など事実婚の相手方は対象外となります。

 

「子」

被相続人の血を継いだ子です。

 

「直系尊属」

被相続人の上の世代の親や祖父母などのことです。

 

「兄弟姉妹」

被相続人の兄弟姉妹を指します。

 

上記が基本的な法定相続人です。

 

このうち配偶者は生きてさえいれば必ず相続人となることができるのですが、それ以外の者等はそうではなく、優先順位があるのです。

 

基本的には上から順に「子」→「直系尊属」→「兄弟姉妹」の順に優先され、例えば子がいる場合は直系尊属と兄弟姉妹は相続権を持ちません。

 

被相続人に子がおらず、親も死亡している場合はすぐに兄弟姉妹にはいかず、その前に親の親、つまり祖父母がいればこの者が相続人となります。

 

年齢的には難しいかもしれませんが、直系尊属は生きていさえすればどんどん上の世代にさかのぼって相続人となります。

 

子も直系尊属もどちらもいないというときにようやく兄弟姉妹に順位が下りてくるという具合です。

 

優先順位があるこれらの者は配偶者も生きていれば両者が相続人となります。

 

ただし、この順位で注意しなければならないのが「代襲相続」という決まりです。

 

代襲とは本来の相続人が被相続人の死亡時にすでに死亡していた場合など、すぐに次の順位者に権利が移らず、その被代襲者の子が代わりに相続権を持てるというものです。

 

代襲が認められるのは子と兄弟姉妹のみです。

 

しかしこの両者には扱い上違いがあります。

 

子の方はもし死亡していてもその下の世代が生きていればどんどん代襲が続き(再代襲、再々代襲として)子の子、さらにその子と続いていきます。

 

しかし兄弟姉妹の方はその子までの一世代限りの代襲で終わりです。

 

それ以下になると血のつながりが薄くなるので法律は優遇しないのです。

 

さて、このようにして相続人が決まっていくのですが、ここで冒頭の疑問が解決します。

 

相続人とは、これら法定された相続人のうち実際に相続権を得た者のことです。

 

例えば配偶者と子、配偶者と直系尊属、あるいは兄弟姉妹だけということもあるでしょう。

 

ただし、上記は被相続人の遺志である遺言がなかった場合に備えて法律が用意した決まりであり、遺言がある場合は原則として遺言の内容が優先になります。

 

例えば配偶者と子、直系尊属、兄弟姉妹全員に何らかの財産を承継させたい場合はそれぞれに対象財産を相続させる旨の記載がされます。

 

この場合は故人の遺志により原則として上記の者が全員相続人となります。

 

遺言で相続人となることができても、自身の判断で相続放棄をすれば相続人とならないこともできます。

 

ということで遺言書がある場合でもない場合でも、相続人とは「結果として」相続権を行使できる人と言うことができますね。

 

 

■相続分の取り分はどれくらい?

 

上記の各相続人はどれくらいの取り分となるのでしょうか。

 

この点は遺言書がある場合と無い場合で扱いが変わります。

 

遺言書がある場合は故人の遺志が優先されるので、原則として遺言書の内容通りの取り分となります。

 

ただし、相続人は全員の合意の元で独自に取り分を変えることもできます。

 

あまりにも不合理な遺言が残された場合を想定して法律が認めているものですが、遺産について分割協議を行って合理的な分割内容を実現することができるのです。

 

協議がまとまったらその合意内容は書面の形にして残しますが、これを遺産分割協議書といいます。

 

当事者同士で協議がまとまっても、第三者はそれを目で見て確認することができません。

 

不動産の登記の際などに担当官に正式な権利者としての証明をしなければならず、そのような場面で遺産分割協議書は活躍してくれます。

 

ただし複数相続人のうち誰か一人でも反対すれば協議はできず、やはり遺言書の内容が優先されます。

 

では遺言書がない場合はどうなるでしょう。

 

この場合も法律は想定していて、各相続人の取り分(法定相続分)を決めています。

 

必ずしも法定分通りの分割にしなくとも、これを指標にして調整をした分割内容にしても構いません。

 

民法で法定された取り分は以下のようになっています。

 

・相続人が配偶者のみの場合・・配偶者が全額

 

・相続人が配偶者と子の場合・・配偶者が二分の一、子が二分の一

 

・相続人が配偶者と直系尊属の場合・・配偶者が三分の二、直系尊属が三分の一

 

・相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合・・配偶者が四分の三、兄弟姉妹が四分の一

 

このように、法定相続人は相続分についても優先度があり、配偶者と子が一番優遇されるような仕組みになっています。

 

ちなみに、子が複数いる場合、親などが両親とも生存している場合、兄弟姉妹が複数いる場合などはそれぞれは均等の取り分となります。

 

例えば被相続人の配偶者と子が二人相続人となる場合は配偶者が二分の一、二人の子はそれぞれ四分の一ずつの取り分となります。

 

 

■遺留分について

 

遺言がある場合は原則として遺言が優先されるとお話しましたが、中には全遺産を愛人に譲るなどの遺言が書かれることもあります。

 

こうした場合遺族があまりにもかわいそうですね。

 

そこで法は「遺留分」というものを用意していて、一定の法定相続人には最低限の取り分を確保することができるようにしています。

 

遺留分の権利があるのは配偶者と子、それに直系尊属のみです。つまり兄弟姉妹には遺留分はありません。

 

遺留分の取り分としては直系尊属のみが相続人となる場合は法定相続分の三分の一、それ以外の場合は法定相続分の二分の一となります。

 

ただし遺留分を確保できるのはあくまで当人がその遺留分の主張をした場合だけです。

 

この主張をしなければ遺留分があったとしても手元には入ってきません。

 

遺留分の主張は他の相続人等財産の承継を受けた者に対してしなければなりません。

 

主張の方法は口頭でも不可能ではありませんが、主張の証拠を残さなければ実質上の救済を受けられなくなる恐れがあるので内容証明郵便などを用いて「遺留分減殺請求」として行うのが普通です。

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相続放棄の危険性

相続放棄とは

  • 民法上の用語の一つで、法定相続人が遺産の相続を放棄すること。

  • 相続放棄をしようと思う者は相続を知った時から3か月以内に家庭裁判所で申述書を提出しなければなりません。

  • 相続放棄をするとその者は、初めから相続人でなかったものとみなされます(遺産に関する一切の権利と義務を失います)。

  • 「相続人でなかった」ことになるので、法定相続人の順位に影響を及ぼすこともあります。

  • 相続放棄をすると、放棄者の子や孫は代襲相続できません。

  • 相続放棄は相続が発生した以降でなければすることができません。

 

多くの借金を抱えている時など便利な相続放棄ですが、一つ大きな問題点があるのです。

 

相続人の順位に影響を及ぼす場合があるのです。

 

一つ例をあげましょう。

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上記の家族をもとに説明させていただきます。

 

聡は龍一との二人兄弟で両親は健在です。

 

龍一は両親と折り合いが悪く、実家に寄り付かないため聡もほとんど会っていません。

 

妻の恵美と結婚しており、まだ子供はいません。

 

ある日聡は不運にも、交通事故で他界してしましました。

 

 

【法定相続分】このケースの場合、相続人は両親光明(6分の1)と春子(6分の1)、妻恵美(6分の4)になります。

 

しかし両親は息子の財産などはもともとあてにしていませんし、恵美さんも大変だろうと二人で相談し、相続分は放棄する事にしました。

 

二人の意志としてはその相続分は恵美さんにあげるつもりだったのですが、このケースではそうはならないのです。

 

初めから相続人でないことになってしまうので、龍一が相続人になってしまいます。

 

この時に遺産分割協議で恵美がすべて相続するとすればなんの問題もなかったのですが、専門家に相談することなく相続放棄を家庭裁判所で行ってしまいました。

 

こうなると預金も家の名義も、法律上弟にも一部権利があることになってしまうのです。

 

預金を下ろすのも、もろもろの手続きにも龍一のハンコが必要になってきます。

 

このように相続放棄にはリスクが潜んでおりますので、相続放棄を行う時には専門家に相談するようにしましょう。

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遺産額にかかわらず相続争いは起こる

少子高齢化や核家族化などが急激に進む中で、遺産を巡る争いが確実に増えています。

 

全国の家庭裁判所が取り扱う遺産分割事件数は増加傾向にあり、2001年が10,988件、2012年は15,286件と約1.4倍に増えています。

 

その内容を見ていくと5000万円以下の事件や1000万円以下の事件が増えています。

遺産分割の額にかかわらず分割協議がうまくいかず調停を申し立てるパターンが増えてきていることがうかがえます。

 

資産のない家がもめる原因は自宅の存続問題が多い

 

典型的な相続争いの例としては、「実家とわずかな金融資産」をどのように分割するかということで争いが生じやすいです。

 

実家に被相続人以外が居住していなければ売却してお金を分ける、という方法がとりやすいかと思います。

 

しかし実際には実家に被相続人以外にも子どもやその家族が同居しているケースも多く、売却すると追い出すことになるためなかなか話がすすみません。

 

例をあげてみます。

 

土地付き一戸建ての父親名義の不動産に長男夫婦とその子どもが住んでいるケースで、遺言書を残していない場合。父親は介護が必要で長男は必死に介護していたとします。

 

長男と長女、次男で遺産分割に入ったところなかなかまとまりません。

 

長男の言い分は父親と長年にわたり同居し、面倒も見てきたのだから実家に住む権利があると主張します。

 

しかし長女、次男からすればたしかに兄が面倒見てきたのはわかるが、私たちもそれなりに協力してきたのだし、兄一人で相続財産全てを取得するのは納得がいかない様子。

 

ここで長男が代償金として売却したら得たであろう金額を、次男と長女に払うなりすれば話はスムーズでしょうが、そう簡単に数百万円、数千万円と現金を用意できることはなかなか出来ないでしょう。

 

そうなると次男と長女は売却までは求めないが少なくとも共有名義にすることは求めてくるでしょう。

 

たとえ共有名義にすることで合意しても、共有名義の不動産の管理利用方法について兄弟姉妹間で合意する必要があります。

 

もし次男や長女が自分の持ち分を第三者に売却してしまうと、長男は見ず知らずの第三者と自宅を共有することになり、第三者より買取を請求される恐れもあります。

こおように共有名義では長男一家にとって不安が残る結果となるので、全員が納得して合意に至るには時間がかかってしまいます。

 

このようになかなか話し合いがまとまらないケースは多いのです。

私個人的な感覚でいえば上記の事案ではどちらの言い分も理解できます。だからこそ揉めるのでしょう。

 

生前に話し合う機会を作ることや遺言書の作成は現代の社会的背景を考えると必要なことなのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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不動産の名義変更をしないとどうなる?

最近不動産の名義が祖父名義のままだがそのままで良いのか?

などの不動産の名義変更に関するご相談は多いです。

結論から申しますとよほどの事がない限り早めに名義の変更手続き(相続登記)をされた方が良いです。

放置していると様々なリスクがあるのです。

 

※不動産の名義変更(相続登記)とは法務局で行う手続きで司法書士に依頼してやることが一般的です。
固定資産税の支払いの名義人変更とは全く別の手続きなのでご注意ください。

 

名義変更をしなかったトラブル例

一番多いのが相続人が増えすぎて手続きが進まないというケースです。

名義人がなくなった時点では相続人は3名だったのですが土地を処分しようと名義変更をしようと思った時点では、相続人は

20名以上だったなどという事は決してめずらしい話ではありません。

20名の中で1名でも納得しない方がいると手続きが進まないので話し合いをし納得してもらう必要が出てきます。それでも話

がまとまらないようなら家庭裁判所で調停や審判を行ったりしなくてはいけないこともあります。また行方不明の方や認知症の

方がおられるとそう簡単には名義を変更することはできません。代償金を請求される例などもあり、余分な費用も大幅にかかってくるのです。

 

 

名義変更をできずに生じる問題

では具体的にどのような問題が出てくるのでしょうか?

一番の問題は売却や担保提供など不動産の処分が全くできないという点です。

今は住んでいるだけだから問題ないと思っていても、10年20年先にはどのような状況になっているかは誰にもわかりません。

また珍しい事例ですが不測の事態が起こったとき、名義変更できないと不動産賠償が行えないという話もあります。

東日本大震災の原発事故によって、自宅に居住できなくなった方に対し、東京電力は不動産賠償を行おうとしていますが名義変更ができないことが壁となりスムーズに賠償を受けることができないのです。(賠償は登記上の所有者に対して行うので、例えば登記上の所有者が亡くなった祖父や父名義だったりすると、そのままでは実際に居住している方は賠償を受けらない事があります)

 

面倒だからと放っておくと後々さらに面倒なことになってしまうのです。

結果下の世代にツケを回すことになります。

不動産名義の変更などでお困りのかたはぜひ相続カフェにご相談ください。

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葬儀社の選び方

葬儀社の選び方

亡くなった方に(ここでは夫とします)菩提寺がある場合は、そのお寺で葬儀をやらないといけないので葬儀社が限られきます。

※菩提寺とは先祖代々ののお墓を置き、菩提を弔うお寺

 

菩提寺以外で葬儀をすると、埋葬時点で『もう一度この形式でお葬式を執り行ってください』といわれトラブルになる事も多いので注意が必要です。

特に菩提寺がない場合は、病院の紹介の所や自分で探した所に頼むのでも良いでしょう。

ですがだいたい病院で紹介される葬儀屋は、割高であることが多いです。

葬儀屋から紹介される税理士や司法書士も割高であることが多いので覚えておいて損はないでしょう。

夫の親や兄弟が生きている場合は一度 「どこで」 「どのような形式で」 葬儀を行うか一言相談しておくと良いです。

一言事前に伝えておくだけで、トラブル防止に大いに効果があります。またあとあと親戚づきあいもうまくいくでしょう。

 

良い葬儀社とは

主観ですが良い葬儀社の特徴を上げさせて頂きます。

・低価格の葬儀を希望しても丁寧に対応してくれる

・いきなり提案するのでなく、まず希望を聞いてくれ複数プランを提案してくれる

・費用が明確であり詳細をしかっり説明してくれる

・契約を急かさない

・支払期限に余裕がある

・見積書以外にかかる費用の説明もしてくれる

・担当者がころころ変わらない

・分かりやすいパンフレットがある

・これまでの葬儀の記録を見せてくれる

・細かい質問にも丁寧に答えてくれる

何点か上げさせて頂きましたが葬儀社の選び方はその他にも何点もの要素があるでしょう。

そうやって選べば間違いないとういう法則のようなものはありませんが、葬儀は担当者がとても重要です。

対応が丁寧で、説明がわかりやすく、こんな質問してよいのか?と言うような事にまで丁寧に答えてくれるような人間的に信頼できる人柄の良い担当者にあたれば、納得のいく葬儀になることでしょう。

参考にして納得のいく葬儀社を見つけてください。

 

葬儀費用はいくらかかるのか?

葬儀の内容や規模によって費用はさまざまです。

全国的な平均は150万ほどと言われています。これには寺院費用(お布施等)は入っていません。

安いなと思っても飲食代等の実費が入ってなかったり、後からどんどん料金がのってくる事も多いので注意が必要です。

またとても安い場合は、直葬や家族葬の場合も多いかと思います。

家族葬とは一般的に参列者を呼ばずにごく親しい身内だけで行う葬儀のやり方を言います。身内だけで個人を偲びたい、大げさにしたくない時などに選択されます。

直葬は葬儀を行わず火葬のみのみを行う形式です。費用は、一般的な葬儀や家族葬よりもかなり軽い負担で済ませることが出来ます。ですが葬儀社によっては受け付けてくれない所もあるので確認してみましょう。

これらの方法ですと後から知らせてほしかったと言われたり、線香を上げさせて欲しいと何度も訪問されて手間がかかるかもしれません。

また香典がないため持ち出しの金額は、増える可能性もなくはありません。

 

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